(ブルームバーグ):米コロンビア大学は過去最多の新入生を迎えることになった。ガザ紛争を巡る抗議活動など過去2年間の学内の混乱や、トランプ米大統領による大学への締め付けが入学者数に影響するのではないかという大学側の懸念は和らいだ。
同大の8月29日の発表によると、2029年卒業予定の新入生は1806人と、前年度から20%増加した。大学関係者によれば、一部の志願者が学内の混乱で入学を控えることや、ビザ(査証)を取得できない外国人志願者が増えることを懸念して合格者数を大幅に増やした。補欠からの繰り上げ合格者数も近年で最も多かったという。
この関係者が匿名で明らかにしたところでは、こうした懸念にもかかわらず、入学の意向を示した合格者の大半が、予定通り入学手続きを完了した。クレア・シップマン学長代行は新入生宛ての書簡で、大学は教員増員に加え、教室利用の最適化やアドバイザーの拡充、食事の選択肢拡大などにより新入生の増加に対応すると述べた。
同学長代行は書簡で、「高等教育全体が不確実性に直面する中でも、当校は優秀で積極的な志願者に恵まれた。その多くを私たちのコミュニティーに迎え入れることができ、大変うれしく思う」と述べた。
トランプ政権はコロンビアやハーバードなどの大学が学内の反ユダヤ主義への適切な対応を怠ったと非難し、多額の連邦研究資金を凍結したほか、留学生へのビザ発給を制限するなど締め付けを行った。
コロンビア大は7月、米政府に2億2100万ドル(約325億円)を支払い、公民権侵害の疑いを巡る複数の調査を決着させることで合意。これにより4億ドルの研究資金の凍結措置が解除された。和解条件として同大には、入学者の人口統計データの提出や独立監視役の設置、学生全体の約40%を占める留学生への依存軽減を義務づけられた。
米政権は移民全般の制限を進める中で、コロンビア大学にとどまらず外国人留学生のビザ審査を厳格化している。国務省は5月下旬、学生ビザ取得のための面接の新規予約受付停止を在外公館に指示。6月半ばに再開したが、審査はソーシャルメディアの確認が追加されるなど厳格化され、新学年を前に多くの大学で混乱が広がった。
米商務省国際貿易局(ITA)のデータによると、7月に入国した外国人学生の数は前年同月比約30%減少。米国に最も多くの留学生を送り込んでいる国の一つであるインドからの入国者は46%落ち込んだ。
留学生の減少を見越し、多くの有力大学は補欠からの繰り上げ合格者を増やし、入学者数を確保しようとした。コロンビア大学は今回、例年を大きく上回る約400人を補欠から合格とした。
同大の今年の合格者は2946人と、前年を600人余り上回った。そのうち入学に至った割合(イールド率)は61%強で、前年の64%からやや低下した。新入生に占める留学生の比率は前年並みだった。志願者数は5万9616人。
シンクタンク、エデュケーション・リフォーム・ナウで高等教育政策分析を担当するジェームズ・マーフィー氏は「今年はイールド率がかつてなく強く懸念されることから、競争力のある大学はどこも合格率を上げるだろう」と指摘。「留学生だけでなく、トランプ政権が生み出す不確実性を見越して各大学はリスクヘッジを図っている」と説明した。

原題:Columbia Admits a Record 1,800 Freshmen Amid Trump Visa Threats(抜粋)
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