1日の日本市場では株式が続落。米国株市場で半導体やデータセンター関連株が売られた流れが波及し、電機や機械、情報・通信、非鉄金属など人工知能(AI)や半導体関連株が下げた。債券は下落(金利は上昇)、円相場は1ドル=147円を挟んで推移した。

前週末の米株式市場では、4月の相場急落後の戻りをけん引してきたハイテク株が下落。半導体大手のエヌビディアが売られ、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は3%超値下がりした。マーベル・テクノロジーやデル・テクノロジーズの業績が弱含んだこともAI需要への懸念を高めた。

岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストは、週末に複数の悪材料が集中したことでAI関連株が売られたと指摘。KOKUSAI ELECTRICなどの半導体装置株は、米政権が韓国半導体大手の中国拠点向け半導体装置の輸送を制限する方針を示したことが重しになり、半導体材料株はトリケミカル研究所の業績予想下方修正が波及した面も大きいとみていた。

株式

株式は下落。米半導体株安を受けてアドバンテストやディスコといった半導体関連株が売られた。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之チーフストラテジストは、エヌビディアのようなAI・半導体銘柄がこれほど先行してきたことを考えると「警戒感が出てきた」と話す。日経平均構成銘柄の下落率上位にはアドテストやディスコのほか、ソシオネクスト、古河電気工業、ソフトバンクグループといったAI・半導体関連株が並んだ。

一方、医薬品や陸運、食品など内需関連株は高く、TOPIXは小幅高に転じる場面があった。指数構成銘柄は上昇が796銘柄、下落が821銘柄と拮抗(きっこう)した。トランプ関税が違法と米連邦高裁が判断したことが投資家心理を下支えした。

債券

債券は下落。2日の10年利付国債入札に向けた調整の売りが優勢だった。日本銀行の氷見野良三副総裁の講演に対する警戒感も相場の重しになった。

農林中金全共連アセットマネジメントの長友竜馬シニアファンドマネジャーは、債券相場は海外金利上昇に追随、10年債入札を控えて長期ゾーン中心に売られたと指摘した。入札については「氷見野副総裁の講演や政局の不透明感もあって投資家は買いにくく、強めの結果は見込みにくい」と言う。

2日の氷見野副総裁の講演に関して三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは、日銀の中川順子審議委員の先週の講演では「金融政策運営のところで若干の変化が見られた。その表現が再度使われるのかも注目だ」と話していた。

新発国債利回り(午後3時時点)

為替

円相場は1ドル=147円を挟んで小動き。日本株の下落でリスク回避の円買い圧力がかかる半面、石破茂首相の進退を巡る不透明感が円の上値を抑えた。米国で連邦高裁がトランプ政権の関税措置は違法との判断を示し、ドルにも不安材料が浮上した。

ソニーフィナンシャルグループの石川久美子シニアアナリストは、米国の利下げを左右する雇用統計などの経済指標の発表を週内に控え、積極的に取引するムードではないと指摘。一方で、国内政局を巡る不透明感が円安圧力につながる可能性があると述べた。

米連邦高裁は8月29日、トランプ大統領が世界各国・地域に発動した関税について、米国際貿易裁判所が5月に下した「違法で無効」との判断を支持した。訴訟が続く間は関税の効力が維持されるため、市場の反応は限定的だった。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:堤健太郎.

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