(ブルームバーグ):インドネシアの首都ジャカルタのチャイナタウン地区では8月31日午前時点で、レストランやカフェが通常通り営業し、訪れた客に食事を提供していた。ただし、首都や地方の一部を巻き込む抗議デモによる混乱の兆しも見られた。
最も目立ったのは軍の存在だった。軍人が通りを巡回し、工具を販売する商業施設の外には軍用車両が止められていた。雰囲気は落ち着いていたものの、普段に比べて人通りは少なかった。この地区にあるドイツの自動車メーカー、BMWのショールームも高級車が全て撤去され、空の状態だった。
チャイナタウンは、ジャカルタにおける抗議活動の歴史の中で象徴的な存在だ。1998年の混乱では当時のスハルト大統領の退陣につながるデモで最も深刻な被害を受け、このBMWショールームは荒らされた。
ジャカルタ市内の別の場所にあるトヨタ自動車の旗艦ショールームも31日午前には空になっていた。
9月1日のインドネシア株はほぼ5カ月ぶりの大幅下落。東南アジア最大の市場での政治不安に対して投資家の懸念が強まった。ジャカルタ総合指数が一時3.6%安となった。
チャイナタウン周辺は比較的落ち着いているものの、インドネシア各地では抗議活動によって広範な被害が出ている。地元メディアのデティックは、8月29日にはジャカルタで複数の警察署が標的となり、そのうちの1カ所には火炎瓶が投げつけられたと報じた。ジャカルタ警察本部の周囲の壁や歩道には、スプレーによる落書きが広がっていた。
今回の混乱は、生活費の高騰や経済格差への不満がきっかけとなっており、複数の国会議員の自宅も攻撃対象となった。プラボウォ大統領は、予定していた中国訪問を中止せざるを得なかった。
原題:BMW, Toyota Clear Showrooms as Protests Keep Jakarta on Edge、Indonesian Stocks Slide After Protests and Looting (Correct)(抜粋)
(5段落目にインドネシア株の動向を追加して更新します。更新前に見出しの社名を訂正済みです)
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