(ブルームバーグ):トランプ米政権は、首都ワシントンのユニオン駅の管理権を取り戻そうとしている。複数の連邦当局者によると、米連邦議会議事堂から至近距離に位置し、ランドマークでもあるこの鉄道駅は、数十年にわたる管理の不備で老朽化が進んでいるという。
ダフィー米運輸長官は27日、連邦政府は同駅を「運輸省の管理下に戻す」方針だと発表。施設の清掃やホームレス対策を実施し、将来的に構内施設の賃借を検討する事業者にとって魅力的な場にしたいと表明した。
トランプ氏は今月に入りワシントンの警察を連邦政府の直接管理下に置き、何百人もの州兵を派遣。ワシントンが「血に飢えた犯罪者」や「暴徒化した若者の集団」に占拠されていると話していた。
ダフィー氏は27日の記者会見で、「トランプ大統領は米国の首都の治安を非常に懸念している」と指摘。その上で、「大統領は、地球上にこれまで存在した中で最も偉大な国にふさわしい首都を望んでいる。つまり、清潔かつ安全で、公園がホームレスに占拠されていない首都だ」と述べた。
米運輸省は1980年代からユニオン駅を所有してきたが、非営利のユニオン駅再開発公社との合意を通じ、管理権を徐々に譲渡してきた。同公社は同駅の保存と公共空間の改善を担ってきた。
トランプ政権の計画は、ユニオン駅の商業的側面を活用し、その収益を施設に還元して照明やエレベーターの改修や警備強化、屋根修繕などの費用に充てることを目指している。

運輸省は声明で、「再投資と治安強化によって駅の収益が劇的に改善し、民間投資の機会を開くと見込んでいる」と説明した。
今回の措置は、首都ワシントンとボストンを結ぶ鉄道路線である北東回廊の主要駅を直接管理下に置くトランプ政権の取り組みの一環。政権は4月、ニューヨーク市のペンシルベニア駅の大規模改修工事について、同駅を所有する全米旅客鉄道公社 (アムトラック)を改修プロジェクトの運営主体とし、ニューヨーク州都市交通局(MTA)を事実上排除していた。
原題:Trump Administration to Take Control of DC’s Union Station (1)(抜粋)
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