ウクライナのゼレンスキー大統領は、ステファニシナ前副首相を新たな駐米大使に任命した。トランプ米政権の関係者らは、長年同職に就いていたマルカロワ氏を交代させるよう求めていた。

ゼレンスキー氏は27日、マルカロワ氏の任務を解く命令を出した。その後ビデオ演説で、同氏の米国における「困難な任務」について感謝の意を示すとともに、役職に触れない形で「ウクライナのために」自身のチームにとどまるよう求めた。

ステファニシナ氏(39)は弁護士出身。欧州統合および欧州大西洋統合を担当していた。ゼレンスキー氏は7月に大規模な内閣改造を実施し、ステファニシナ氏を米国特使に任命していた。

マルカロワ氏はトランプ政権で不評だった。同氏の交代は遅ればせながら、米国に配慮を示した形となる。トランプ氏がロシアのウクライナ侵攻を終結させようと動く中で、ウクライナや欧州各国はロシアとの和平合意を巡りウクライナの利益の考慮や安全の保証に向けて働きかけている。

マルカロワ氏は2021年に駐米大使に任命された。バイデン前政権との緊密な関係や米国からの支援獲得を巡り評価されていた時期もあった。だがトランプ氏の大統領返り咲きに伴い、任期終了後も職にとどまっていたこともあり、その人事には注目も高まっていた。

マルカロワ氏は昨年、ゼレンスキー氏の米ペンシルベニア州の弾薬工場訪問を手配したことで、トランプ氏の支持者の怒りを買った。昨年11月の米大統領選の激戦州の一つである同州をゼレンスキー氏が9月に訪れたことについて、民主党を利する政治的干渉だとして共和党議員の一部から批判の声が上がっていた。

マルカロワ氏

原題:Zelenskiy Replaces Ambassador to US in Belated Gesture to Trump(抜粋)

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