米国で投資の普及を後押ししてきた上場投資信託(ETF)ブームが、転機を迎えている。投資家やファイナンシャルアドバイザーが多過ぎる選択肢に悩まされている。

モーニングスターのデータによれば、新規設定の急増によって米ETFは4300本を超え、米国株の銘柄数(約4200)を初めて上回った。米投資信託協会(ICI)によると、ETFは投資商品全体の約25%を占める。10年前は9%に過ぎなかった。

商品の多様化に伴い、投資家のコストや税負担は低下する一方、選択肢の多さが新たな悩みの種となっている。数多くのETFを比較検討するのは、気が遠くなるような作業だからだ。

ニューヨークを拠点とするボーン・ファイド・ウェルスのダグラス・ボーンパース氏は、「選択肢の過多で、投資家は力を得るどころか身動きが取れなくなる」と指摘する。

 

発行体の間では生き残りをかけた競争が激化。差別化や高い手数料の正当化のため、単一銘柄型やレバレッジ型、インバース型といったハイリスク商品を投入してきた。こうした商品を巡っては、個人投資家が十分に理解できていない可能性があるといった批判も出ている。

ETF市場は次第に飽和状態となり複雑化が進み、類似した戦略が乱立している。多くの商品は市場で存在感を示せずに最終的に閉鎖に追い込まれる。

発行体の動きは今年に入り一段と加速。新規設定は640本余りだ。1日平均4本の記録的なペースとなる。

ボーンパース氏によると、「今では人工知能(AI)からペット、大麻、ウォーク(社会的正義に目覚めた)、そして反ウォークに至るまだあらゆるETF」があり、それぞれが長期的に有意なものかどうかを見極めるのが難しい状況だ。

原題:There Are Now More ETFs in US Than There Are Individual Stocks(抜粋)

--取材協力:Isabelle Lee、Claire Ballentine、Denitsa Tsekova.

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