トランプ米大統領は25日、米国には対中貿易で中国よりも強い切り札があるとし、レアアース(希土類)の輸出規制に対抗し得る手段として航空機部品の供給停止を挙げた。

トランプ氏は「われわれは中国よりはるかに強く優れた切り札を持っている。それを使えば中国は壊滅的な打撃を受けるだろう。私は使うつもりはない」と述べた。

世界のレアアース磁石生産の9割を握る中国は4月、その優位性を武器にレアアース磁石の対米輸出をほぼ停止した。しかし、トランプ政権との関税一時停止措置合意の一環として供給正常化に応じ、7月の対米輸出は6か月ぶり高水準となった。

トランプ氏は、中国が「賢明にも」レアアースを重要産業に不可欠な材料と見極め、採掘・精製で独占体制を速やかに構築したと称賛。その上で「われわれは今、安全保障上の観点のみから磁石の分野に深く関与している。しかしわれわれには強力な手段がある。それは航空機部品であり、多くのボーイング機だ」と語った。

トランプ氏は中国による輸出制限後に米国がボーイングの航空機部品供給を止めたところ、中国の航空機200機が飛行できなくなったと説明。その後、「私は運航できるようにすべての部品を送った。放置しておくこともできたが、関係を考慮してそうはしなかった。そして、これらの航空機は今、空を飛んでいる」と付け加えた。

トランプ氏は中国で行われる見込みの習近平国家主席主催の会談にも言及。「習氏とは非常に良好な関係にあり、つい最近も話をした」とあらためて述べた上で、「恐らく年内か来年初めに中国を訪問することになるだろう」と話した。

究極的に交渉で使える米国の最大の武器は関税だとも述べ、中国が磁石を供給しなければ最大200%の関税を課す可能性があると述べた。ただ、この問題は「過去のものだ」と付け加え、中国の供給が不十分とは示唆しなかった。

さらに、米国内でのレアアース調達で大きく進展している状況を示唆。「磁石を確保できるようになるまで約1年かかる」と話した上で、詳細には触れなかった。

原題:Trump Says US Has Much Bigger Leverage Over China on Magnets (2)(抜粋)

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