ジーンズブランド「リーバイス」で知られる米衣料品メーカー、リーバイ・ストラウスは、ビヨンセのツアー「カウボーイ・カーター」向けのファッション性の高いコレクションを準備する一方で、本物のカウボーイ向けとなる実用的な定番商品の開発をひそかに進めていた。

多くの小売業者と同様、リーバイもウエスタンスタイルのトレンドを取り入れてきたが、これまでは主に、クリスタル装飾のジャケットやデニムコルセット、325ドル(約4万8000円)の日本製ジーンズなど、流行重視の高価格商品に注力していた。だが、米国初のデニムブランドであるリーバイはここにきて、かつて一般家庭に広く浸透する原動力となった、ブルーカラー層向けの作業着に立ち返った新商品を打ち出している。

2022年に同社は年間売上高100億ドルの目標を掲げた。過去5四半期連続で前年同期比増収を記録しているが、目標達成にはなお35億ドル以上の上積みが必要だ。

目標達成に向けた取り組みの一環として、リーバイはミシェル・ガス最高経営責任者(CEO)の下、地方に住むブルーカラー男性を次の成長市場と位置づけている。19世紀、同ブランドは炭鉱作業員や牧場労働者向けの作業着として誕生したが、現在この市場ではアリアット、カーハート、ラングラーといった小規模競合ブランドが主流となっている。

米国ウエスタンアカウント担当責任者のアンソニー・ショール氏は「世界にはカウボーイがたくさんいるが、最大の市場は日々働く電気技師や配管工、農家、牧場主といったブルーカラー層だ。リーバイにとって大きなシェア獲得のチャンスだ」と語った。

こうした顧客層に訴求するため、リーバイは新たに「ウエスタン・ブーツカット」と「ウエスタン・ストレート」の2つの新シルエットを投入。いずれも作業用ブーツに合わせて着用できる設計で、価格は59ドルと、同社の他の主力スタイルより約10ドル安い。価格面でも、ラングラーやアリアットの類似商品を下回る水準に設定されている。

リーバイは、従来は製品の約10%しか販売していなかったブート・バーンの大半の店舗で全商品を展開するほか、テキサス発祥のウエスタンアイテム小売業者キャベンダーズでも販売を開始する予定だ。

原題:Levi Pitches Cowboy Gear in Push Toward $10 Billion Revenue Goal(抜粋)

--取材協力:Augusta Saraiva.

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