(ブルームバーグ):米政府債務は、金利に上昇圧力をかけることなく国内総生産(GDP)比250%に到達可能だと主張する論文が、カンザスシティー連銀主催の経済政策シンポジウム、ジャクソンホール会合で公開された。
スタンフォード大学のエイドリアン・オークレール氏やミネソタ大学のハンネス・マルムバーグ氏らが執筆した論文は、「大幅な調整がなければ、米国債の供給がいずれ需要を上回り、金利上昇を余儀なくされる」としながらも、「基本的見通しでは、金利上昇を伴わずに長期債務をGDP比250%まで増やすことは可能」と分析した。
米国ではトランプ政権1期目で導入された大型所得減税の恒久化を柱とする税制・歳出法が7月に成立し、債務上限が5兆ドル(約737兆円)引き上げられた。これに伴い、債務水準上昇の重要性と、借り入れコストへの潜在的影響を巡る議論が活発化した。米国の政府債務は2024年末時点でGDP比約97%だった。
米議会予算局(CBO)は1月に発表した予測で、米政府債務のGDP比率が2034年末までに117%に達するとの見通しを示していたが、税制・歳出法の成立でさらに9.5ポイント押し上げられると推計した。
ジャクソンホール会合で公開された論文は「財政再建が実現するまでの間、高齢化に伴う資産需要の増加と、関連する政府支出拡大を賄う国債発行増との競争が起きる」と予想した。
原題:US Debt-to-GDP of 250% Won’t Push Up Rates: Jackson Hole Paper(抜粋)
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