(ブルームバーグ):米資産運用大手ブラックロックは、アジアにおける最新のプライベートクレジットファンドの資金調達を今年に入って停止していた。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
ブラックロックは2024年12月にプライベートクレジット運用会社HPSインベストメント・パートナーズの買収を発表した。
関係者が匿名を条件に述べたところによると、同社はその後、25年に入りアジア太平洋地域向けプライベートクレジット第3ファンドの資金調達を事実上停止した。HPS買収は7月1日に完了している。
同地域におけるプライベートクレジット資産に関するブラックロックの戦略については既に不透明感がある。
ブルームバーグ・ニュースが先月報じたところによると、ブラックロックのプライベートファンドに出資している主要投資家の1社であるアーチ・キャピタル・グループは、一部ファンドの成績不振や幹部の相次ぐ離脱を受け、持ち分のうち少なくとも3億5000万ドル(約520億円)相当を売却する方向で協議を進めている。
また、ブラックロックとアブダビの政府系ファンド(SWF)、ムバダラ・インベストメントは、プライベートクレジット分野での提携を解消することで6月に合意している。事情を知る別の関係者によれば、案件の発掘が難航していたことが背景だという。
関係者によると、ブラックロックはアジア太平洋地域向けプライベートクレジット第3ファンドで約10億ドルの資金調達を目指し、23年10-12月(第4四半期)に資金集めを開始していた。今後の方針については、HPS幹部との社内協議が行われる見通しだが、時期は未定だと関係者は述べている。
ブラックロックはこの件に関するコメントを控えた。
ブラックロックはプライベート市場における事業強化を目指し、30年までに同市場で総額4000億ドルを調達する全社的な目標を掲げている。
ただ、プライベートクレジット市場全体も逆風にさらされている。
JPモルガン・チェースによれば、年初から7月22日までの同資産クラスへの資金流入は700億ドルにとどまり、オルタナティブ資産全体の流入額のわずか1割に過ぎない。これは少なくとも15年以降で最も低いシェアとなる。
また、JPモルガンの試算によると、未収利息の計上を停止したノンアクルーアルローンなど、貸し倒れが見込まれる取引を含めたプライベートクレジットのデフォルト率は5.4%に達している。
原題:BlackRock Paused Fundraising for Latest Asia Private Credit Fund、BlackRock Paused Fundraising for Latest Asia Private Credit Fund(抜粋)
(最終3段落を追加します)
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