(ブルームバーグ):債券市場で長期金利の指標となる新発10年国債利回りが2008年以来の水準に上昇した。日本銀行による追加利上げ観測の高まりと根強い財政懸念が背景にある。
10年債利回りは21日、前日比0.5ベーシスポイント(bp)上昇し1.61%を付けた。19日に行われた20年債入札は弱い結果となり超長期債利回りが上昇、長期ゾーンにも売りが波及している。
日本銀行がインフレ対応で「後手に回っている」とのベッセント米財務長官の発言を受けて以降、市場は金融引き締めへの思惑を強めている。事前予想を上回った4ー6月期国内総生産(GDP)統計も金融正常化を後押しする材料と受け止められた。また、参院選で大敗した石破茂首相は辞任の圧力に抵抗しているが、トレーダーらは財政拡大に伴う国債発行の増加が長期金利の上昇圧力になると警戒する。
10年債利回りは金融機関の貸出金利や住宅ローン金利の基準の一つとなるため、上昇が続けば家計の支出や企業の設備投資が圧迫される可能性がある。
翌日物金利スワップ(OIS)市場は現在、10月までに25bpの利上げが行われる可能性を50%程度織り込んでいる。一方、債券市場は流動性の面で脆弱(ぜいじゃく)な状況が続く。12日には新発10年国債の取引が1日を通して成立しなかった。
--取材協力:山中英典.
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