(ブルームバーグ):米ゲームソフト大手テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエアは、人気シリーズ「バイオショック」の新作を開発中のスタジオ、クラウドチェンバーの従業員の約3分の1を解雇した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
関係者が匿名で明らかにしたところでは、クラウドチェンバーの組織再編の一環として19日に80人強が解雇された。解雇前の従業員数は約250人だった。同スタジオの拠点は米カリフォルニア州ノバトとカナダ・モントリオールの2カ所。
関係者によれば、この影響で2026年末から27年初頭に予定していたバイオショックの新作発売時期も遅れる見通し。ブルームバーグ・ニュースは今月、新作の開発上のトラブルを受けてクラウドチェンバーの責任者とクリエーティブディレクターが解任されたと伝えていた。バイオショックシリーズは累計4300万本余りを売り上げている。
テイクツーの販売レーベルで、クラウドチェンバーを傘下に置く2Kゲームズは人員削減を認めたが、具体的な人数は明らかにしなかった。
広報担当者は2Kのデービッド・イシュマラー社長が従業員に送ったメールを引用し、「われわれはプロジェクトの基盤となるゲームプレー要素に期待しているが、バイオショックの中核に関わる部分を作り直す決断をスタジオ幹部と下した。このため開発チームを縮小し、この作り直し作業に集中させるとともに、開発期間を延長することにした」と説明した。
今回の決定によって、バイオショック新作の開発は業界でも異例の長期に及ぶことになる。すでに複数のスタジオと開発チームを経て10年余り続いている。
最大の重圧はシリーズの看板にふさわしい作品を作ることだった。第1作のバイオショックはディストピア的な物語とメランコリックな雰囲気で史上最高のゲームの一つとされ、続編も物語性の高さで評価された。
しかし今年の社内レビューではストーリー面の不備が指摘され、作品は良作と評価されたが傑作とは見なされず、これが開発責任者の交代につながった。2Kの広報担当者は今月のブルームバーグ宛ての文書で、「現時点で良い作品ではあるが、われわれは偉大な作品を目指す」と説明していた。
だが今回の大量解雇により、新作の先行きには不透明感が残る。突然の解雇に戸惑いを隠せない従業員は、現場の意見を無視して下された誤った経営判断のツケを押し付けられていると感じているとブルームバーグに語った。
2Kは今週、新たなスタジオ代表としてロッド・ファーガソン氏を迎えると発表した。同氏は業界で難航する開発を完成まで導く「クローザー」として知られており、3作目の「バイオショック インフィニット」完成にも貢献した経歴を持つ。
原題:Take-Two Guts ‘BioShock’ Studio After a Decade of Development(抜粋)
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