テクノロジー株の急落を警戒する動きが、オプション市場で強まっている。トレーダーは災害(ディザスター)級とも言える相場の大幅下落に備え、プット(売る権利)を購入してポジションを構築している。

テクノロジー関連銘柄の比重が高いナスダック100指数は、トランプ米大統領による大規模な関税の発表で急落した4月上旬以降に約40%上昇した。この上昇をけん引しているのは大手テクノロジー株で、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフトなどで構成されるブルームバーグ・マグニフィセント7指数は、4月8日の安値からほぼ50%の上昇を記録している。

こうした上昇の裏には、見えにくい弱さが潜んでいるのではないかという懸念がある。数日後に開幕するジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)や、来週予定されているエヌビディアの決算発表など、下落の引き金となり得るイベントも控えている。

22Vリサーチ・グループのデリバティブ戦略責任者、ジェフ・ジェイコブソン氏によると、トレーダーは「通常の調整程度の下落」については「それほど懸念していない」が、4月のような急落の再来を警戒している。ただ、同氏は実際にはそこまで深い下落にはならないと考えている。

トレーダーは、ナスダック100指数に連動する上場投資信託(ETF)、インベスコQQQトラスト・シリーズ1(QQQ)の急落を見込む「ディザスター」プットオプションの購入を進めているとジェイコブソン氏は話す。

同氏によれば、大幅な急落へのヘッジと小幅な下落へのヘッジにかかるコストの差を示す指標は、過去約3年で最も高い水準に達している。

このように、大幅な下落に対する備えへの需要が特に高くなっている状態は、投資家が4月に起きた関税パニックの再来を警戒していることを示していると同氏は指摘する。

 

こうした懸念は行き過ぎだと見ている同氏は、浅めの下落に備えるヘッジを購入し、より大きな4月型の急落に対するヘッジを売ることで一部コストを相殺するという戦略を提案している。

具体的には、10月17日満期の行使価格570ドルのQQQプットオプションを購入し、同時に行使価格515ドルのプットオプションを2倍の数量売るという内容だ。この取引は、指数が約2-11%の範囲で下落した場合に利益が出るという。

同氏によれば、ナスダック100指数は2月9日の高値から4月8日の安値までに20%超下落したが、こうした動きは極めて異例で、過去18カ月の平均的な下落幅はおよそ12.5%にとどまる。

一方で同氏は、「市場は大きく上昇してきた」と指摘。「多くの要因が、大型ハイテク株の急落を引き起こしかねない」と警戒感も示す。

関税によるインフレ圧力で米連邦準備制度(FRB)が市場の想定どおりに利下げを実施できなくなれば、マグニフィセント7の株価上昇が終息する可能性もある。

「マグニフィセント7銘柄から、これまで出遅れていた他の分野へと資金がローテーションする可能性がある。エヌビディアの決算発表が『材料出尽くし』と見られてで売られることも考えられるし、ジャクソンホール会議が『売り材料』となる可能性もある」と説明した。

原題:Options Traders Brace for Big Tech Selloff With ‘Disaster’ Puts(抜粋)

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