9月16、17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で、0.25ポイント超の利下げを想定するオプション投資にトレーダーが一斉に資金を投じている。

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は22日、カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム「ジャクソンホール会合」で講演を予定する。投資家の金融緩和期待が正しいと確認されるか、打ち消されるか、目先の金融政策決定を占う発言が注目される。

FRB議長の講演を数日後に控え、0.25ポイント超の利下げを期待する投資が勢いを増した。先週は14日発表された7月の米生産者物価指数(PPI)が前月比で約3年ぶりの大幅上昇となり、一部トレーダーの間で利下げ観測が後退する場面もあった。

それでもトレーダーは9月の利下げを引き続き予想し、米国債相場は19日に3営業日続いた下落から上昇に転じ、各年限で利回りが低下した。9月の会合での0.25ポイント利下げは、約80%の確率を市場は織り込んでいる。

BMOキャピタル・マーケッツの米金利戦略責任者イアン・リンゲン氏は「パウエル氏のジャクソンホール講演に市場は備えているが、米国債にとって最大のリスクは、広く予想される9月の利下げに水を差す否定的な発言をFRB議長が選択する場合だ」とリポートで指摘した。

リンゲン氏は「現時点の市場の期待に沿うほどハト派的なトーンをパウエル議長が示さない場合、イールドカーブのフロントエンド(短期ゾーン)が弱気修正にさらされやすく、そうした状況は認識に値する」とした。

 

金融政策見通しを反映する担保付翌日物調達金利(SOFR)オプションは今月初めから旺盛な需要が見られ、今週に入ると0.5ポイントの利下げを想定したストライク(権利行使価格)で建玉(未決済約定)が急増した。

ブルームバーグの分析によると、約32万5000枚のポジションが存在し、9月のFOMC会合での0.5ポイント利下げを投資家が織り込む場合、約1000万ドルの費用で最大1億ドルの利益が見込める。

7月のPPIには、トランプ米政権が貿易相手国・地域に課す関税が企業のコストを増大させる状況が反映され、年限が短い米国債の利回りを押し上げたが、オプション・ポジションの増加が収まることはなかった。

JPモルガンの米国債顧客調査の最新結果によれば、現物市場の投資家の間では、8月18日までの1週間でショート(売り持ち)からニュートラル(中立)へのポジションの切り替えが進み、中立の水準は7月14日以降で最も高くなった。

 

原題:Wager for Half-Point Rate Reduction Faces Test of Powell Remarks(抜粋)

(PPI発表後の動きを追加して更新します)

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