米国小児科学会(AAP)は19日、定期予防接種に関する新たな推奨を公表し、健康な子どもにも新型コロナウイルスのワクチン接種を推奨する方針を打ち出した。これは、連邦政府による物議を醸した指針とは異なる見解だ。

AAPは生後6-23カ月の子どもに対し、新型コロナのワクチン接種を推奨するとしている。トランプ政権のケネディ厚生長官は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)以降継続されてきた指針を変更し、健康な子どもや妊婦にはワクチンを接種すべきでないとの見解を示している。

AAPは1930年代から独自の予防接種ガイドラインを発表してきたが、今年は米疾病対策センター(CDC)と袂(たもと)を分かった。

CDCの予防接種実施に関する諮問委員会(ACIP)のメンバーに、ワクチンに関する誤情報を拡散してきた人物をケネディ長官が任命したことが背景だ。再編されたACIPは6月の会合で、小児の予防接種スケジュールの見直しを検討するとしていた。

こうしたケネディ長官のワクチン政策は、公衆衛生の専門家の間で懸念を呼んでおり、命を救う接種が受けにくくなる恐れが指摘されている。これを受け、複数の医療団体が独自の推奨をより積極的に公表し、保険会社に対しても推奨ワクチンを保険の対象とするよう求める動きを強めている。

AAPのスーザン・クレスリー会長は声明で、「AAPは科学的根拠に基づき、乳児や子ども、思春期の若者の健康にとって最善の予防接種推奨を今後も提示していく」と表明した。

厚生省のニクソン報道官は、新たなスケジュールに関するコメントの中で、AAPは「根拠のない政治的な攻撃によって国家的な予防接種政策を損なっている」と批判。「利益相反のセーフガード」を取り除き、「金銭的影響を受けない出版物を目指すべきだ」と主張した。

ケネディ長官はX(旧ツイッター)への投稿で、AAPは「企業との癒着を含め、利益相反の情報を公開すべきだ」とコメント。同長官はAAPのウェブページ上に掲載された大手製薬会社4社からの寄付に対する謝辞のスクリーンショットを添付し、これら企業がCDCの小児用ワクチン推奨スケジュールに含まれるほぼ全てのワクチンを製造していると指摘した。

AAPはこれに対し、利益相反は一切なく、ACIP設置以前からワクチン推奨を行ってきたと反論している。

CDCは5月にウェブサイトを更新し、健康な子どもは医師の判断に基づき新型コロナワクチンを「接種することができる」とする記述に改めた。従来は生後6カ月以上の子ども全員への接種を推奨としていた。

原題:Pediatric Group Recommends Covid Shots for Kids (Correct)(抜粋)

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