(ブルームバーグ):記録的な上昇を続ける日本株に新たな追い風が吹きそうだ。企業の業績ガイダンスが例年以上に保守的で、7-9月期決算以降に上方修正が相次ぐ可能性があるためだ。
野村証券によると、東証株価指数(TOPIX)を構成する企業(除く金融)のうち、15日までに今期(2026年3月期)の経常利益予想を上方修正したのは61社。全体に占める比率は6.6%と前年から5ポイント低下し、21年3月期以来の低さとなった。
日本企業の業績計画は例年、保守的とされるが、今期はその傾向が一段と強まっている。アライアンス・バーンスタインの陶志遠ポートフォリオ・マネジャーは、トランプ米大統領の予測しづらい政策などを踏まえ、経営陣が「余裕をもったガイダンスを出している」と分析する。

JPモルガン証券の西原里江チーフ日本株ストラテジストは、慎重な会社計画は「早ければ25年7-9月期にも上方修正されていき、日本株への追い風となる」とみる。今後は値上げなど関税対応策の効果が業績に表れてくるとの見立てだ。
為替相場も今のところ業績の上振れ余地を生んでいる。ブルームバーグのデータによると、TOPIX500指数の構成企業による今期の想定ドル・円レートは平均で約144円と、実勢(147円台)より円高水準だ。
関税の影響はなお見通しにくい面もある。シュローダー・インベストメント・マネジメントの豊田一弘日本株式運用総責任者は「価格転嫁が販売数量にどう影響するかは読み切れず、7-9月期決算で観察する必要がある。企業によっては業績の下振れリスクになる」と警戒する。為替も日米の金融政策の動向次第で円高方向に振れる可能性は残る。

それでも、足元で業績見通しは改善している。ブルームバーグがまとめたTOPIX企業の今期1株当たり利益(EPS)のリビジョンインデックス(アナリスト予想のトレンド指数)は、前週まで5週続けてプラス圏で推移し、約5カ月ぶりの高水準となった。
JPモルガンの西原氏は、日本株はこれまで「米利下げ観測や日本の国内総生産(GDP)などマクロ要因がきっかけになって上昇してきた」とした上で、「今後は外需株を中心に企業業績も買い材料として加わってくる」との見方を示した。
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