インテル株に強気な投資家は、数カ月にわたる混乱を経て、ようやく株価の急上昇による見返りを得ている。ただし、株価のバリュエーションが非常に高く、20年余り前のITバブル以来の高水準に達していることが懸念材料となっている。

インテル株は今月に入り28%上昇。時価総額は約240億ドル(約3兆5400億円)増えた。米政府がインテル株の取得を検討しているとの報道や、ソフトバンクグループによる20億ドル規模の出資発表が材料視された。

この急上昇により、インテル株の12カ月先予想株価収益率(PER)は53倍となり、ブルームバーグの集計によれば、2002年初め以来の高水準となっている。

フェニックス・ファイナンシャル・サービシズのチーフマーケットアナリスト、ウェイン・カウフマン氏はインテル株について「非常に割高に見える」と指摘。「このような倍率は、政府がインテルの顧客戦略を強力に後押しし、同社が勝ち組になると市場が見込んでいることを意味している」と指摘した。

 

インテル株は7月24日の決算発表が期待外れだったことや、トランプ米大統領が、同社のリップブー・タン最高経営責任者(CEO)に対し利益相反を理由として辞任を求めたことを受けて下落していた。

しかし、トランプ氏は8月11日にタン氏と会談した後に姿勢を変え、タン氏の「成功と出世は素晴らしいストーリー」だとソーシャルメディアに投稿した。

その後、トランプ政権が同社株の約10%を取得する方向で協議していると報じられた。もっともこの計画はまだ確定しておらず、変更される可能性もある。

一方、インテルの高いバリュエーションは、近年の収益性の大幅な低下を反映したものだ。

ブルームバーグのデータによれば、インテルは次の4四半期で10億ドル余りの調整後利益を計上する見通しだが、前4四半期は約13億ドルの赤字だった。18年から21年にかけて、同社は年間平均200億ドル超の利益を上げていた。

ラッファー・テングラー・インベストメンツのナンシー・テングラーCEOは、「インテルは技術面で大きく後れを取りコスト削減だけで成長することはできないため、利益成長について見通すのは困難だ」と指摘。バリュエーションを判断するのも難しく、「過大評価されていると思うが、先行きが非常に不透明で、どんな水準でも魅力的とは言えない」と話した。

原題:Intel’s $25 Billion Rally Sends Valuation to Dot-Com Levels (2)(抜粋)

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--取材協力:Subrat Patnaik.

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