(ブルームバーグ):ギャバード米国家情報長官は18日、英政府が米アップルに対し米国人ユーザーのデータに「バックドア」を設けるよう求めていた措置を撤回することに合意したとX(旧ツイッター)に投稿した。
同社は今年1月、英当局にクラウドサービスに保存された利用者情報を対象とした最先端の暗号化機能を無効化するよう命じられていた。バックドアは外部からの操作を可能にするプログラムで、英国側は音声メモやデバイスのバックアップといった通信内容を含み得るデータへのアクセスを目指していた。
ギャバード長官は、英政府がこうしたバックドアの義務付けを取り下げたことで「米国人の個人データのプライバシーが守られる」とコメント。この変更が他国の利用者にも適用されるかどうかには触れなかったが、トランプ大統領も協議に関与したと付け加えた。
アップルはスマートフォン「iPhone」など自社製品と競合他社のデバイスとの違いをアピールするため、プライバシーをマーケティングの中核に据えている。また、端末上でのアプリ購入に課す手数料についても、安全で信頼できる環境をユーザーに提供するため必要だと主張している。
英政府がアップルへの命令の根拠とした調査権限法では、企業が当局からの命令の有無を開示すること自体が禁じられている。
英政府報道官は電子メールで、「そうした通知の有無を含め運用上の事項についてはコメントせず、確認も否定もしない」とし、「最も深刻な脅威に対処するため、米国とは長年にわたり安全保障および情報分野で協力関係を築いてきた」と説明。ギャバード長官のコメントやアップルのセキュリティー方針に言及せずに「英国民の安全を守るため、国内で必要な措置を常に講じる」と表明した。
アップルはコメント要請に対し、すぐに回答しなかった。
原題:UK Scraps Apple ‘Backdoor’ for American Users, US Spy Chief Says(抜粋)
--取材協力:Debby Wu.
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