「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、2035年6月期に売上高で4兆2000億円を目指すと発表した。人口が減少する国内でもディスカウント市場は伸びるとみて、食品スーパーマーケットなどの分野でシェア拡大を目指す。

前期(25年6月期)の2倍弱にあたる売上高目標を達成する上で、注力するのが国内事業だ。集客力が期待できる食品を主軸とした新業態を今期から導入し、買収・合併(M&A)も進めながら35年6月期までに200ー300店舗展開する考え。既存業態の新規出店やインバウンド獲得にも引き続き力を入れる。

国内の小売り企業では、業態の垣根がなくなりつつある。例えば九州を拠点とするコスモス薬局は、ドラッグストアを運営するが、冷凍食品や惣菜にも力を入れる。パンパシIの新業態導入で、食品スーパーやドラッグストア間でのシェア争いはさらに激しくなりそうだ。

パンパシIの森屋秀樹次期社長は、成長に向けて10年で1兆2000億円規模の投資を計画していると、同日開いた決算説明会で述べた。「これまで戦略的に取り組んでこなかったM&Aにも全力で取り組む」という。

一方アナリストから注目があった海外事業については、別の機会に戦略を開示するとして、ミニマムの目標提示にとどまった。岩井コスモ証券の饗場大介シニアアナリストは、中期経営計画開示前の取材で、海外事業の成長が必要で、新経営体制下で方向性が明確になるか注目していると話していた。

36期連続で増収

パンパシIが同日発表した前期の売上高は、前の期比7.2%増の2兆2468億円で、36期連続の増収となった。ディスカウントストアと総合スーパーを合算した国内事業の売上高は1兆9155億円だった。

中計で食品分野の強化を示したパンパシIだが、すでに同分野で一定の存在感を築いているようだ。UBS証券アナリストの風早隆弘氏がまとめた食品関連小売りの主要企業の営業収益比較によれば、初めてパンパシIの国内2事業がイオンリテールを抜いて首位に立った。

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