(ブルームバーグ):アイルランドによる米国への輸出が6月に前年同月比23%減少した。関税措置の発表を見越して対米出荷が急増していたが、同国に拠点を持つグローバル企業が姿勢を転換したことを示唆している。
中央統計局が15日発表したデータによると、アイルランドの6月の対米輸出は前年同月比13億ユーロ(約2240億円)減の44億ユーロにとどまった。前月比では60%減少と、さらにマイナス幅が大きくなった。

アイルランドに製造拠点を設けている米医薬品メーカーは1-3月(第1四半期)に関税を見込んで在庫を積み増しており、6月の対米輸出の落ち込みはその反動だった可能性がある。実際、3月にはアイルランドからの米国への輸出額が前年同月比ほぼ400%増と急拡大していた。
ファイザーやイーライリリーといった米製薬大手がアイルランドに拠点を構えており、同国の低税率モデルが誘致の要因となっている。だが、トランプ米大統領がこれを批判し、医薬品関税を通じて製造業の国内回帰を促す姿勢を鮮明にしている。
アイルランド政府は医薬品関税が課せられた場合、7万5000人の雇用が失われる恐れがあると警鐘を鳴らしている。トランプ政権の関税措置による影響は広がっており、苦境にあるウイスキー業界ではここ数カ月、蒸留所閉鎖が相次いでいる。
原題:Ireland’s Exports to US Plunge After Tariff-Induced Surge(抜粋)
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