(ブルームバーグ):暗号資産(仮想通貨)交換業者ブリッシュがニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場し、終値は新規株式公開(IPO)価格比84%高となった。調達額は11億ドル(約1600億円)。同社は、デジタル資産関連ニュースを配信するコインデスクのオーナーでもある。
ブリッシュの株価は13日、68ドルで取引を終え、IPO価格37ドルの2倍近くに上昇した。IPO公募株数は3000万株と当初の予定から拡大。提出書類上の発行済み株数に基づく時価総額は99億ドルとなった。
事情に詳しい関係者によると、当初の20倍を超える応募があり、約3分の1の機関投資家は配分を受けられなかったという。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)の元社長トム・ファーリー氏が最高経営責任者(CEO)を務めるブリッシュは、主に機関投資家を対象にし、暗号資産の現物や証拠金、デリバティブの取引サービスを提供している。ただし、同社の証拠金およびデリバティブ取引サービスは現在、米国内では提供されていない。
トランプ米政権の後押しを受けている暗号資産業界では、IPOのほか特別買収目的会社(SPAC)との合併や逆買収を通じて上場を目指す動きが広がっている。ステーブルコイン「USDC」の発行元であるサークル・インターネット・グループの株価は6月に一時、IPO価格の8.5倍に急騰した。
暗号資産業界での差別化
同社の提出文書によると、ブリッシュは3月31日時点で17億ドル相当のビットコインを含めた暗号資産を保有。しかし、ファーリー氏はビットコインの価格上昇と企業の成長を結びつけようとしているストラテジー(旧マイクロストラテジー)などのデジタル資産トレジャリー(DAT)企業と差別化を図る方針だ。
ファーリー氏は、「ある意味で当社はビットコイン・トレジャリー企業だが、現在定義されているトレジャリー企業とは異なる。ビットコインの保有残高を意図的に増やすことはせず、ビットコイン購入目的で転換社債や借り入れを行う予定もない。ただし、資金調達については全ての選択肢を検討している」とブルームバーグ・ニュースのインタビューで述べた。
ステーブルコインの発行者に流動性サービスを提供しているブリッシュは、関連法案の成立による追い風を受ける可能性がある。同社は23年にデジタル・カレンシー・グループから7260万ドルでコインデスクを買収。コインデスクはメディア事業に加え、マーケットデータや指数の提供を行っている。
提出文書によると、ブリッシュは1-3月期に暗号資産販売で8020万ドルの売上高を計上した一方で、純損益は約3億4860万ドルの赤字だった。前年同期は売上高8040万ドルに対し、1億480万ドルの黒字を計上している。
原題:Crypto Firm Bullish Soars 84% in Debut After $1.1 Billion IPO(抜粋)
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