(ブルームバーグ):オリンパスは、日本に偏っている調達先の見直しに着手する。7日に発表した新経営戦略の一環で、採算性改善につなげる狙いだ。こうした原価管理徹底や組織再編を通じて、毎年1ポイントの営業利益率改善を目指す。
6月に就任したボブ・ホワイト最高経営責任者(CEO)がブルームバーグとのインタビューで明らかにした。世界全体で立地や供給の継続性、コストなどの観点から適切なサプライヤーを選び出す。同社は売り上げの8割以上を海外で稼ぐが、現在は調達先の約7割が日本拠点で、費用がかさむ面があった。
稼ぎ頭である北米事業の変調が業績に影を落とす中、発表した新経営戦略では、全社員の約7%にあたる2000人程度の人員削減などを発表。組織再編を通じて、収益性の改善に動く。
ホワイト氏はオリンパスの課題について、「中核部分をグローバル化できていなかった」と指摘。財務や品質管理、マーケティング、人事などの「至るところ」に重複があり、「各取り組み自体は良くても断片的でつながりがなく、経営の優先事項に直結していないこともあった」と語った。 今後は、各機能を世界規模で標準化するという。
経営戦略発表を受けオリンパス株は10日、一時前営業日比15%高の2154円まで買われ、2019年11月以来の日中上昇率となった。シティグループ証券の芝野正紘氏は、新戦略について「物足りない」との見方があるかもしれないが、新たに株を売却する理由は見当たらないとした。
SMBC日興証券アナリストの徳本進之介氏は7日付のリポートで、売上高成長率で年1%、営業利益率で年1ポイントの改善などを掲げるオリンパスの財務目標について、説明会からは市場期待よりも低いと推察すると指摘。「事業環境に変化がある中、実行力を期待したい」と記した。
売上高の約4割を占める北米事業の立て直しも課題だ。オリンパスは6月、米食品医薬品局(FDA)から輸入警告を受け、一部製品の同国での販売ができなくなっていた。さらに米の関税政策の影響も受ける。
ホワイト氏は、今年中にある程度のFDAによる調査は完了する見込みだと明らかにした。米関税影響については、短期的には価格設定や調達先の見直し、関係構築などで対応。長期的には製品の生産地や調達拠点の最適化を議論していると話した。
ホワイトCEOのその他の発言
- 苦戦する中国事業は、着手済みの現地生産に加え、中国政府との関係構築など新たな状況に合わせた対応をとる
- あらゆる事業が見直しの対象で、より成長率の高い事業に資本と投資を集中させる
(第5段落に株価とアナリストの見方を追加しました)
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