(ブルームバーグ):13日の金融市場で米国債相場は約2週間ぶりの大幅上昇となった。米金融当局が9月の次回会合で政策金利の引き下げに踏み切ることを見込んで、トレーダーがポジションを積み上げた。
12日に発表された7月の米消費者物価指数(CPI)はおおむね落ち着いた内容と投資家に受け止められた上、ベッセント財務長官をはじめとする当局者が利下げを注文し、来月の利下げに向けた機運が高まった形だ。
現時点の金利スワップ市場の動向を踏まえると、9月16、17両日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での0.25ポイント利下げの可能性は完全に織り込まれ、トレーダーの一部は0.5ポイント利下げを見込んだポジションを構築している。
米10年債利回りは5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の4.24%で13日の取引を終えた。
こうした動きは2週間前と比べて市場心理がいかに劇変したかを示している。9月利下げの確率は当時50%未満とみられていたが、弱い内容の米雇用統計の発表を契機に状況が変わり始めた。
7月の雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが予想を下回り、5、6両月の増加幅も大幅に下方修正されたのを受け、トランプ大統領は労働省労働統計局(BLS)の局長を解任。トランプ氏は米金融当局に利下げを迫って圧力を一層強めた。
またベッセント氏は13日、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「9月の50bp利下げを皮切りに、そこから一連の利下げを実施できるだろうと考えている」とした上で、金利は「おそらく150、175bp低い水準にあるべきだろう」との見方を示した。

一方、シカゴ連銀のグールズビー総裁は13日、金融当局としてまちまちな内容の経済指標を精査すると述べるとともに、今秋のFOMC会合は「ライブ」になると話した。
米国債利回りは全年限でいずれも5bp以上低下し、ドルは他の主要通貨のバスケットに対し下落した。
ウェルズ・ファーゴの金利ストラテジスト、アンジェロ・マノラトス氏は「市場のムードは緩和モードに切り替わった」とコメント。「CPIの内容は米金融当局にとって決定打と言うにはほど遠いものの、今後数カ月以内の利下げに向けた軌道を維持することになった」との分析を示した。
原題:Bond Rally Deepens as Traders Price In Fed Rate Cut Next Month(抜粋)
--取材協力:Michael Mackenzie.
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