13日の日本市場では株式相場が続伸し、主要指数は終値での最高値を連日で更新した。米国でインフレ指標を受けて利下げ観測が高まり、投資家のリスク選好姿勢が強まった。円は1ドル=147円台後半で推移。債券は弱めの5年債入札結果を受けて中期債が下げた。

米国の7月の消費者物価指数(CPI)はおおむね市場予想通りの内容となり、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ観測が強まった。これを受けて前日の米国株が上昇し、日本株にも追い風となった。

フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は、日本の株式が出遅れていたことにグローバル投資家が気づき始め、ポートフォリオの再配分の一環として資金を投入していると指摘した。人工知能(AI)ブームで半導体やAIサーバー関連銘柄への資金流入が特に目立つと述べた。

株式

東京株式相場は6営業日続伸。ソニーグループやアドバンテスト、ルネサスエレクトロニクスなど電機の一角や半導体株が値上がりし、指数の上昇に寄与した。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成社長は、各国の対米輸出企業が関税分を負担して価格転嫁していないため、顕著なインフレは起きていないとし、こうしたシナリオが崩れなければ米株高が続き、グローバル分散投資の観点から日本株にも資金が向かうとの見方を示した。

業種別では空運や非鉄金属、機械などが上昇。一方、週後半に予定されているトランプ米大統領とプーチン露大統領の会談を前に原油価格が下落し、鉱業関連株は値下がりした。

為替

東京外国為替市場で円相場は1ドル=147円台後半で推移。日本株の上昇を背景にリスク選好のドル買い・円売りが優勢となり、一時148円台に下落したが、追加の売り材料は乏しく下値は限られた。

みなと銀行の苅谷将吾ストラテジストは「米CPIを受けてドルが下げてきたが、FRB執行部の利下げスタンスがはっきりと伝わらない中、日経平均株価がきょうも上昇しており、リスクセンチメントの改善で円が売られている」と述べた。

SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、「ドルを積極的に売る材料はなく、ドル・円は結局レンジを抜け切れていない」と言う。9月の米利下げはおそらくあるが、50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の大幅利下げはないとの見方を示した。

債券

債券相場は先物や中期債を中心に下落。5年債入札の弱めの結果が売りにつながった。

入札結果は最低落札価格が99円71銭と、市場予想99円72銭を下回り、大きいと不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は3銭と前回の2銭からやや拡大した。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は2.96倍と、20年3月以来の低水準となった。

パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、5年債入札はやや弱めの結果だったと評価。「関税協議が一通り終わったことに加え、日銀の年内利上げがあるとの見方から、買いが入りにくい状況だった」と述べた。利上げ時期については今年10月と来年1月に市場の見方が分かれているが、1月だとしてもあと半年もなく、今の水準で買う必要はないと指摘した。

新発国債利回り(午後3時時点)

注)10年債の前日比は12日の気配値との比較

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:日高正裕.

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