バイオテクノロジー企業からフィンテックに転身したALT5シグマが最大15億ドル(約2200億円)の資金調達を通じ、トランプ米大統領とつながりのある暗号資産(仮想通貨)の備蓄会社に生まれ変わる見通しだ。同社の事業の中心は慢性の痛みへの治療薬から暗号資産決済に移っており、トランプ一族に経済的利益をもたらすプロジェクトの新たな支えになりそうだ。

ラスベガスに本社を置くALT5シグマは11日の発表資料で、トランプ一族と関係のある分散型金融(DeFi)プロジェクト、ワールド・リバティ・ファイナンシャルのトークンを購入する資金の確保に向け、私募増資を実施すると明らかにした。リード投資家はワールド・リバティ自体で、暗号資産系のベンチャーキャピタルも参加するという。

ブルームバーグ・ニュースは先週、ワールド・リバティのトークンを上場企業1社が保有する構想が投資家に提示されていると報じた。トランプ氏の次男でワールド・リバティを共同で設立したエリック・トランプ氏は、ALT5シグマの取締役に就任する予定。同じく共同設立者で、米国のウィトコフ特使の息子であるザック・ウィトコフ氏が会長に就く。取引は12日に完了する見通しだ。

今回の取り組みは、トランプ氏の第2次政権下でよく見られる動きだ。トランプ氏の一族や盟友はさまざまな暗号資産プロジェクトに関与し、中小の上場企業にデジタル資産を迅速に組み込ませてきた。

暗号資産交換業者が現時点で扱っていないトークンの価値を株式売買が容易な上場企業に大量に保有させて支えるという手法は、ストラテジー(旧マイクロストラテジー)が750億ドル強相当のビットコインを積み上げ、他の上場企業も追随したモデルと似ている。

原題:Former Biotech Raising $1.5 Billion to Hoard Trump-Tied Token(抜粋)

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