(ブルームバーグ):12日の東京株式市場で日経平均株価が取引時間中の史上最高値を更新した。米国の関税政策を巡る不透明感が後退したほか、連休中に米大手テクノロジー株への買いが強まったことや為替の円安も追い風となっている。
日経平均は1000円超上昇し、昨年7月に付けた日中ベースの過去最高値(4万2426円77銭)を上回った。午前終値は前週末比2.5%高の4万2849円67銭。トランプ米大統領が中国との関税休戦を90日延長したことに加え、先週末には米政権の高官が対日関税の上乗せ是正の発表に向けて最終調整していると明らかにし、世界景気や企業業績への懸念が和らいでいる。

底堅い企業決算や為替の円安も好感され、自動車や電機など輸出関連、銀行、商社など幅広い業種が上昇。東証プライム売買代金上位ではソフトバンクグループや三菱UFJフィナンシャル・グループ、トヨタ自動車が高い。
野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジストは、関税交渉が決着した日本株は「業績の先行きに明るさが戻り買いやすくなっている」と指摘。海外比での出遅れを見直す動きが海外投資家中心に強まっており、それが時価総額上位銘柄で構成するTOPIXコア30指数などの良好なパフォーマンスに表れていると述べた。
TOPIX
日本株は7月下旬の日米による関税合意を受けて騰勢を強め、東証株価指数(TOPIX)は昨年付けた最高値をすでに上回り、初めて3000ポイントを突破。日経平均は寄与度が大きい半導体関連株の調整などもあり、出遅れていた。日本を代表する主要株価指数がそろって取引時間ベースの史上最高値を更新したことで、日本株の見直しが急ピッチで進みつつある。
日本取引所グループのデータによると、相場上昇をけん引してきた海外投資家は7月最終週に日本株の現物を1892億円売り越し、4月からの連続買い越し記録は17週で止まった。TOPIXの最高値更新を受けて利益確定売りが膨らんだ格好で、今後は海外勢の買いが再び強まるかが焦点になる。
SMBC信託銀行の山口真弘チーフマーケットアナリストは「日本企業の決算は予想と比べれば悪くなかった」とし、投資家の関心は米国の景気や金融政策の動向に移るとみている。
財政
石破茂首相は9日、8日に開かれた自民党の両院議員総会や党で進められている参院選の総括を踏まえた上で、党総裁としての自身の責任について「適切に考えてまいりたい」と述べた。
ニッセイアセットマネジメントの松波俊哉チーフアナリストは、財政出動をしないと選挙は厳しいと参院選の結果を分析。与党がどの政党と組もうとも、また次の自民党総裁が誰であれ「財政出動をせざるを得ないという政局になっている」と語り、そうなれば内需関連あるいは情報テック系などがけん引する相場になるとの見方を示した。
--取材協力:佐野日出之.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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