(ブルームバーグ):来年に任期満了を迎える米連邦準備制度理事会(FRB)議長の後任候補として、ボウマン、ジェファーソン両副議長とダラス連銀のローガン総裁が検討されていると、匿名の政権当局者2人が明らかにした。
選考プロセスを主導しているベッセント財務長官は、今後数週間以内に追加の候補者との面談を行う予定だという。トランプ大統領は秋に後任議長人事を発表する見通しだと当局者は語った。
関係者によれば、この他の後任候補には、ハセット米国家経済会議(NEC)委員長、ウォラーFRB理事、経済学者のマーク・サマリン氏、ウォーシュ元FRB理事、ブラード前セントルイス連銀総裁らの名前が挙がっている。
トランプ氏は先週、クーグラーFRB理事の後任として、ホワイトハウスのミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を指名した。ミラン氏が就任するには、上院の承認が必要となるが、トランプ氏はミラン氏がクーグラー理事の残りの任期を務める見通しを示した。任期は来年1月末までとなる。
当局者らによると、次期FRB議長人事ではベッセント氏がすべての候補者との面談を行い、その上で最終候補者リストを大統領に提言する予定だという。
トランプ氏が批判
金利が高過ぎると考えるトランプ氏は今年に入り、連邦準備制度に対して厳しい批判を重ねており、とりわけ自身が2017年に議長に指名したパウエル議長への攻撃が目立つ。
ただパウエル氏の後任選びでは、トランプ氏の選択肢は通常より限られる可能性がある。FRB議長は通常、任期満了のタイミングで連邦準備制度を去るが、パウエル氏は任期が終わる26年5月に退任するかどうかを明言していない。本人が望めば、28年まで理事としてFRBに残ることが可能だ。

このため、トランプ氏はまず来年1月末までミラン氏が務める理事のポストに意中の人物を据えて5月に議長に昇格させるか、あるいは既に理事会メンバーを務める人物を選ぶ必要がある。現在の理事にはボウマン氏とジェファーソン氏が含まれる。
外部から理事を起用する場合や現職理事を議長に昇格させる場合はいずれも上院の承認が必要となる。
ボウマン氏は、トランプ氏が第1次政権下の18年に理事に指名し、今年に入って銀行監督担当の副議長に起用した。米連邦公開市場委員会(FOMC)の7月会合で5会合連続となる金利据え置きを決定した際には、ボウマン氏とウォラー氏が0.25ポイントの利下げを主張して反対票を投じた。
ジェファーソン氏はバイデン大統領(当時)によって22年に理事、23年に副議長に指名された。いずれも上院で超党派の幅広い支持を得て承認された。
ジェファーソン氏が初めて指名された時、コロンビア大学でかつて同僚だったハセット氏は、同氏を高く評価していた。「フィル・ジェファーソンは、FRB理事指名で私が100%の自信を持ってトランプ大統領に推薦できる人物と言える」とし、「彼はまさに、私がFRBにいてほしい人物だ」と語っていた。
黒人で初の議長になる可能性があるジェファーソン氏は今年、金利据え置きの判断を一貫して支持している。

ローガン氏は22年にダラス連銀総裁に選ばれた。以前はニューヨーク連銀で、連邦準備制度の証券ポートフォリオ運用を担当していた。同氏も今年、金利据え置きを支持し、関税によるインフレに警戒する必要性を頻繁に指摘している。同連銀の報道官はコメントを控えた。
政策金利を決定するFOMCのメンバーはFRB理事7人全員とニューヨーク連銀総裁に加え、残る11の地区連銀総裁の中から持ち回りで決まる4人で構成される。ダラス連銀総裁は26年に投票権を持つことになっている。
ハセット氏は議長人事についてトランプ氏と既に協議している。ウォーシュ氏は17年に議長候補として検討されたが、最終的にパウエル氏が選ばれた。昨年11月にはトランプ氏が財務長官候補として検討した。
ウォラー氏はトランプ陣営と面会しており、ブルームバーグ・ニュースの先週の報道によれば、予測に基づいて政策判断を下そうとする姿勢や、連邦準備制度全体に深い知見があることが高く評価されている。
原題:Fed Chair Search Expands to Include Bowman, Jefferson and Logan(抜粋)
(6段落目以降を追加して更新します)
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