内閣府は7日に公表した日本経済の年央試算で、2025年度の実質国内総生産(GDP)成長率の見通しを下方修正した。米国の関税措置や足元の物価高による影響を加味した。

実質GDP成長率の見通しは前年比プラス0.7%。1月時点の見通しはプラス1.2%だった。内訳では、民間消費をプラス1.0%に、民間企業設備はプラス1.8%にそれぞれ引き下げた。試算は同日開催された経済財政諮問会議で提示した。

米関税措置や世界経済の成長減速を背景に、25年度の実質輸出はプラス1.2%に伸びが鈍化すると予測。試算に当たっては、輸入品全般にかかる一律関税と自動車関税を15%とする7月の日米合意を前提に置いている。

トランプ米政権が発動した関税措置で、世界経済の先行きには一段の不透明感が生じている。今回の試算では、物価の高止まりが民間消費に及ぼす影響とともに、関税の影響による「下押しリスクにも留意が必要」と記した。関税を巡っては日米間の認識のずれも指摘されるなど、経済活動における下押し圧力はくすぶっている。

日本銀行は7月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、日米合意を「前向きな動き」と評価する一方、国内外の経済や物価に及ぼす不確実性は高いと指摘した。

内閣府試算では、消費者物価(総合)は25年度が2.4%程度、26年度は1.9%程度を見込んでいる。

伸びる税収見通し

国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)は、25年度に3兆2000億円の赤字となる見通し。基調的な税収増などを想定し、1月時点で予測した4兆5000億円の赤字からは改善を見込む。

PBの試算では、26年度に3兆6000億円の黒字に転換する。国の税収は25年度の77兆8000億円から、26年度は81兆8000億円に増えると見込んだ。

政府は25年度から26年度にかけて国・地方のPB黒字化させる目標を掲げており、試算上は達成が視野に入る。ただ、補正予算の編成などで歳出が膨らめば黒字化が遠のく可能性もある。

今回の試算では、教育無償化については安定財源が確保されると想定し、PBに影響は及ばないとした。一方、ガソリン税の暫定税率廃止や給付金措置は織り込んでいない。

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