7日の日本市場では株式が続伸し、東証株価指数(TOPIX)は終値での最高値を2週間ぶりに更新した。堅調な企業決算を好感し、銀行など内需関連を中心に買いが優勢だった。30年債入札を波乱なく終え、債券は上昇。円相場は1ドル=147円台で推移した。

トランプ米大統領が半導体を含む輸入品に対して100%の関税を課す方針を表明し、半導体関連株の一角は下落した。また、ホワイトハウス関係者が日本には15%の追加関税を課すと明らかにしたと共同通信が報じ、日米間の認識の違いが懸念されているが、相場全体への影響は限定的だった。

SBI証券の鈴木英之投資情報部長は、米関税では「貿易黒字を稼いでいるのは自動車のため、そこがどうなるかが一つ大きなポイント」だと話す。追加関税については、どこか落としどころがあるのではないかと述べた。

株式

株式は3日続伸。銀行や保険など金融株のほか、電気・ガスや情報・通信、小売りなどの業種が上昇した。

アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは、企業の決算発表で関税の影響も織り込まれ、先行きに対する投資家の不安が「解消されてきている」と指摘。全体的に「物色の幅が広がっている」と述べた。

個別では、取引時間中に決算を発表したソニーグループが上昇。フジクラも今期営業利益計画と配当予想を上方修正し、午後に急伸した。

一方、トヨタ自動車は今期の営業利益計画を下方修正し、株価は一時2.4%安まで下げた。楽天証券の窪田真之チーフ・ストラテジストは「トランプ氏の関税政策はなお不透明感があるため、悪材料出尽くしとはならない」とした上で、「関税影響を除けば販売台数が増加傾向にあるなど堅調で、悪くない決算だ。今回の下方修正で日本株に対する投資家心理が悪化することはないだろう」と話した。

債券

債券相場は上昇。この日に実施された30年国債入札を波乱なく終えたことで買い安心感が出た。

入札結果によると、最低落札価格は95円35銭と、市場予想と一致。小さいと好調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は15銭と、前回の31銭から縮小し、3月以来の小ささとなった。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.43倍と、前回の3.58倍から低下した。

明治安田アセットマネジメント債券運用部の大﨑秀一シニア・ポートフォリオ・マネジャーは、入札は利回り曲線上や金利水準的に見て需要があり、「無難からしっかり、どちらかと言うとしっかりめな結果」と指摘。ただ、「財政懸念などの材料があり、この先どんどん買い進まれるかはわからない」と話した。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、入札は無難な結果だったとし、要因として「金利水準が3.0%台後半とまずまずのところで入札できたこと、そして相対的に割高感がなかったことが挙げられる」と述べた。

新発国債利回り(午後3時時点)

為替

円相場は1ドル=147円台で推移。日米関税合意を巡る懸念が円の重しとなる半面、米国の利下げ観測や連邦準備制度理事会(FRB)の人事を巡る不透明感などがドルの上値を抑えており、方向感に乏しい展開が続いた。

東海東京インテリジェンス・ラボの柴田秀樹金利・為替シニアストラテジストは、日米の関税合意に認識のずれがあり、トランプ米大統領の発言も予測が難しく、「市場で通商交渉は不透明要因として意識されている」と話した。米雇用統計後のドル・円は下落局面にあるが、材料不足とドル・円双方の売りが重なり、当面は小幅な値動きにとどまりそうだとみている。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:堤健太郎、清原真里.

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