(ブルームバーグ):日本の財政拡大による国債需給の悪化不安が根強い中、7日に実施される30年国債入札では投資家需要が減退する可能性がある。低調な結果となると国債の利回りは一段と上昇しかねない。
今回の入札は自民党が8日に予定している両院議員総会の前日に行われる。投資家は政界再編の兆候とそれに伴う財政への影響を見守っている。7月の参院選で与党が敗北、石破茂首相の辞任を巡る臆測が渦巻いている。首相が退陣すれば野党の減税を求める声が強まる公算が大きく、財政懸念は増す。債券トレーダーは弱い結果に備えている。
アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎シニア債券ストラテジストは、30年債入札で「積極的な応札が行われる可能性は低い」と指摘。「石破首相が自民党議員の支持を獲得できなければ、大幅な財政拡大への懸念が強まり、超長期国債利回りのさらなる上昇につながる可能性がある」と述べた。

30年債入札の結果は7日午後0時35分に発表される。注目点は投資家需要の強弱を反映する応札倍率。前回7月の30年債入札では3.58倍と、過去12カ月の平均を上回り需要は堅調だった。大きいと入札の不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)も要注目だ。
入札に対する警戒の兆しはすでに出ている。7月23日に行われた40年債入札では応札倍率が2011年以来の低水準になり、投資家は購入に慎重だった。今週5日の10年債入札は利回り水準の低さが投資家の購入意欲を抑制した。
ブルームバーグのストラテジストは次のように指摘する:
10年債入札の結果を受けて、市場には30年債入札対して慎重なムードが広がっている。長らくデフレに悩まされてきた日本経済にはスタグフレーション懸念が根強く、先行きの視界は依然として晴れない。一方で、石破首相の辞任観測を背景に政局の不透明感もくすぶっており、政権交代となれば財政拡張への道が開かれる可能性もある。
30年債利回りは若干低下したものの、依然として7月に付けた過去最高付近で推移している。アナリストは生命保険会社の需要減退が国債の利回り曲線にスティープ(傾斜)化圧力をかけ続けていると指摘する。
需給改善を狙い財務省は超長期債の発行を減らし、日本銀行は国債買い入れの縮小ペースを鈍化させている。海外投資家は買い姿勢を維持しているが、国内勢の需要の落ち込みを相殺するには至らない。財務省によると、海外投資家は過去6カ月で8兆8000億円規模という過去最高のペースで超長期債を買い越している。
野村証券の宍戸知暁シニア金利ストラテジストは「少なくとも財務省が大幅に発行を減額するまでは超長期金利が大幅に低下する可能性は高くない」との見方を示した。
(ブルームバーグのストラテジストの声を追加します)
--取材協力:グラス美亜、清原真里、山中英典.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.