三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は4日、2025年4-6月期(第1四半期)の連結純利益が前年同期比1.8%減の5461億円だったと発表した。特殊要因もあり減益だったが、市場予想の4901億円を上回った。この日で3メガバンクグループの決算が出そろった。

今期(26年3月期)目標2兆円に対する進捗(しんちょく)率は27%となった。達成すれば過去最高を更新し、初の2兆円台となる。第1四半期の純利益は、ブルームバーグがまとめたアナリスト5人の予想平均4901億円を上回った。傘下の海外大手行の決算期を変更した影響を除くと実質増益だったとしている。

発表資料によると、本業のもうけを示す連結業務純益は同20%減の5430億円だった。前年同期に大口の債券売買益を計上していた反動が出た。与信関連費用は469億円と前年同期から1198億円改善した。株式関係利益は303億円と同254億円減少した。

3メガバンクの業績は、日本銀行が追加利上げのタイミングを探り、本業の貸し出し業務からのさらなる利益拡大が見込まれる中で、順調に推移している。既に決算を発表済みのみずほFGは今期純利益予想を上方修正した。実現すれば年間で初めて3メガともに1兆円超に乗せるとともに過去最高となる。

MUFG財務企画部の原隆行・CFO室長は決算説明会で、顧客部門について「国内の資金需要は引き続き底堅い」と述べた。

 

トランプ関税

第1四半期の純利益はMUFGを除く2行が過去最高を記録した。通期予想に対する進捗率は三井住友FGが29%、みずほFGが28%となった。今期は米トランプ政権による関税措置の影響が懸念されるが、3メガの決算の数字に顕著には表れていない。

三井住友FGでは米関税政策による純利益へのマイナス影響を当初、今期年間で1000億円と見込んでいたが、同四半期中はほとんど表面化していないという。想定する影響の範囲内で引き当てを積んでいると説明した。

ただ、トランプ関税についてMUFGの原氏は、国内GDP(国内総生産)の押し下げ要因となるとして、「影響は年度後半に顕在化してくる」と分析。顧客企業の業績に与える影響にも目を配る必要があるとの認識を示した。

原氏は日銀の金融政策運営について、ミクロ・マクロ経済の動向に加え、国の財政政策も考慮しながら決めていくことになるだろうと指摘した。利上げペースの鈍化などがあれば、銀行の収益にも「直接的なインパクトを与える」として注視している。

 

(MUFGの決算説明会の内容を追加して更新します)

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