(ブルームバーグ):ウォーレン・バフェット氏率いる米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイは4-6月(第2四半期)に、保有するクラフト・ハインツ株に関連して38億ドル(約5600億円)の減損損失を計上したと発表した。クラフト株への投資は近年、同社にとって重荷となっていた。
バークシャーは2日の当局への提出文書で、クラフト株の簿価を84億ドルに引き下げたと明らかにした。2017年末時点の簿価は170億ドル強だった。同株への投資はバフェット氏(94)にとって珍しい失敗例となっている。同氏は15年のクラフトとハインツの合併で中心的な役割を果たした。
現在も含み益は出ているものの、合併以来、クラフトの株価は62%下落している。同期間にS&P500株価指数は202%上昇している。バークシャーは6月末時点の公正価値を基にクラフト株の価値を評価した。
エドワード・ジョーンズのアナリスト、カイル・サンダース氏は減損計上について、「遅過ぎた。2年前にやるべきだった」と指摘した。

クラフトは現在、インフレによる消費支出抑制や、健康志向の高まりといった逆風に直面しており、事業の一部をスピンオフ(分離・上場)する可能性を検討している。
バークシャーは提出文書で、クラフト株の公正価値の継続的な下落が減損計上の一因だとし、減損損失の算出に当たっては取締役会議席の放棄や、クラフトが戦略的選択肢の検討を進めていることを考慮したと説明した。
バークシャーは6月末時点でクラフト株の27.4%を保有している。サンダース氏は、今回の減損計上はバークシャーが持ち株比率を引き下げる布石の可能性があると分析。「クラフト株の売却の可能性に備えて柔軟性を持たせたのだと思う。この投資はバフェット氏にとって過去数十年で最大の失敗の一つだ。そろそろ手放す時期に来ているのではないか」と語った。
バークシャーの現金保有残高は6月末までの3カ月間で1%減少し、3440億ドルとなった。現金残高が減少するのは3年ぶり。
4-6月期にバフェット氏は慎重な姿勢で株式市場に臨んだ。バークシャーは株式を売り越し、自社株買いも見送った。サンダース氏はこうした慎重なスタンスがバークシャー株の重しになっていると指摘した。
4-6月の営業利益は保険引受部門の減益が響き、前年同期比3.8%減の111億6000万ドルとなった。
自動車保険のガイコは、税引き前の引受利益が18億ドルと2%増加。ただ、契約者数の増加を図り支出を増やしたため、引受費用は40%膨らんだ。
公益事業部門は営業利益が7%増加。鉄道会社バーリントン・ノーザン・サンタフェ(BNSF)は生産性向上や税率引き下げが寄与し、営業利益が19%増の約15億ドルとなった。競合するユニオン・パシフィックが同業ノーフォーク・サザンを720億ドルで買収することで最近合意し、米大陸を横断する巨大鉄道企業が誕生する見通しとなったことから、BNSFの今後の戦略に注目が集まっている。
原題:Buffett’s Berkshire Hit With $3.8 Billion Kraft Heinz Charge (3)(抜粋)
(部門別の業績などを追加して更新します)
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