トランプ米大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に各国・地域への関税措置を講じたのは違法だとして、米中小企業のグループなどが提訴した裁判を巡り、グリア米通商代表部(USTR)代表は、最終的に違法の判断が下された場合でも、関税を用いたトランプ政権の貿易政策の計画に影響ないとの見解を示した。

グリア氏は1日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、トランプ氏がつくり出した米国の交渉上の優位性を各国・地域は理解していると指摘。「だからこそ、彼らは一連のディール(取引)を進めており、訴訟で何が起ころうとそれらのディールは維持されるだろう」と語った。

連邦高裁では7月31日、トランプ氏がIEEPAに基づいて各国・地域に上乗せ関税などを発表したことについて口頭弁論が開かれ、11人の判事からは連邦議会を迂回(うかい)してこうした関税を賦課する権限が大統領に認められるか、懐疑的な見方が相次いだ。

連邦高裁の判断が示されるまでには数週間かかる可能性があり、最終的には連邦最高裁が判断を下すことになると考えられる。

グリア氏は、政権として「この訴訟に非常に自信を持っている」と述べるとともに、裁判で敗訴したとしても、米国が関税計画を推進する姿勢は変わらないと語った。この関税計画の多くは、31日夜に発表された大統領令で明らかにされた。

グリア氏は「現行の計画にかなり自信を持っており、ここで戦略の詳細に踏み込むつもりはない。しかし、大統領が貿易赤字を是正し、国際貿易体制を変えることができるよう、必要なことは何でもやる」と話した。

同氏はトランプ政権1期目でライトハイザー前USTR代表の首席補佐官を務めた。

グリア米通商代表部(USTR)代表インタビュー

トランプ氏は、米国の貿易赤字を国家的緊急事態と宣言した上で、IEEPAを根拠に関税を発動した。この法律は、大統領に対して緊急時にさまざまな金融取引を巡る権限を与えている。

民主党が主導する複数の州と中小企業のグループが、この関税措置に異議を唱えており、トランプ氏による同法の行使を違法と主張している。また、1977年に同法が制定された際、議会はこのような形での利用を想定していなかったとも訴えている。

米国際貿易裁判所は5月、4月2日に発表された基本・上乗せ関税などの措置を違憲とする判断を下した。しかし、連邦高裁はこの判断の効力を一時停止し、トランプ氏は関税計画を進めている。

グリア氏は、関税についての明記がないIEEPAをトランプ氏が用いることに自信を表明。「たとえ連邦高裁や、さらに連邦最高裁に訴訟が進んだとしても、この法律が大統領に輸入を規制する権限を明確に与えていることに、われわれは自信を持っている」とコメントした。

原題:Trump Trade Official Says Tariff Court Loss Won’t Impact Plans(抜粋)

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