8月第1週(4-8日)の日本株は堅調に推移する見通し。米国の関税率確定や日米金融政策など重要イベントの通過で買い安心感が広がり、発表シーズンさなかの企業決算も事前に警戒されたほど悪くないとの受け止めが優勢となりそうだ。

トランプ米大統領は7月31日、4月に発表した世界一律の基本関税の最低税率を10%に据え置いた。ホワイトハウスのウェブサイトに掲載された大統領令の添付表では、日本の税率は15%と明記された。関税に対する不透明感が和らぎ、投資家の関心は本格化している企業業績に移る。

東京証券取引所によると、第1週に1000社以上の決算発表が集中し、ピークの8日は500社を超す。SMBC日興証券調べでは、東証株価指数(TOPIX)採用企業の4-6月営業利益は前年同期比7.7%増(7月末時点、3月期企業)で、通期計画に対する進捗(しんちょく)率は26%と順調なスタートを切った。最大の焦点は自動車や防衛関連、人工知能(AI)関連企業の動向だ。

米関税率の決定後にトヨタ自動車やホンダ、SUBARUが示す業績予想への注目度は高く、特に時価総額トップのトヨタは相場全般の方向性を左右しかねない。売買人気の高い三菱重工業は足元の防衛、エネルギー関連需要を見極める指標になる。業績の下方修正で半導体製造装置の東京エレクトロン株が急落した中、AI需要の勢いを探る上で後に続く半導体、電線企業の内容は気がかりだ。

このほか、米国では5日に7月の供給管理協会(ISM)非製造業総合景況指数や6月の貿易収支の発表がある。国内は8日に日本銀行が7月30・31日開催の金融政策決定会合の主な意見を公表予定で、自民党は両院議員総会を開く。7月第5週のTOPIXは週間で0.1%安と3週ぶり反落した。

《市場関係者の見方》

三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之チーフストラテジスト

主要イベントに乏しく、国内決算を見ながらの高値もみ合いとなりそうだ。注目のトヨタが業績予想を維持するか、市場予想の範囲にとどまれば米関税問題を乗り越えたとして日本株全体に安心感が高まる。日銀の年内利上げ観測の再燃で、金融株も高くなる可能性がある。自民党両院議員総会で首相交代に関する動きが出れば、株価にポジティブだ。

T&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダー

今までの決算発表はまちまちで、指数は上がりづらいだろう。自民党両院議員総会もあり、国内の政治情勢に対する懸念が重しになるかもしれない。しかし、石破首相が降りるということが確定していけば、プラスのリスクになる。トランプ関税の大統領令が出たので、一時的な安心感が出たかもしれないが、政策を変更する脅しが残り、貿易に対する警戒感も続くだろう。

 
--取材協力:アリス・フレンチ、横山桃花.

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