任天堂が1日発表した4-6月期(第1四半期)の連結営業利益は、前年同期比4.4%増の569億円で、市場予想(548億円)を上回った。6月5日に発売した家庭用ゲーム機「スイッチ2」の6月末までの累計販売は582万台だった。

発表によると、スイッチ2の発売により売上高は2.3倍と大幅に増えたが、営業利益はハードの生産コストや販売管理費が増えたこともあり、微増にとどまった。スイッチ2向けソフトの販売は867万本だった。ハードに同梱したものを含め「マリオカート ワールド」は563万本を販売。スタートダッシュに貢献した。

スイッチ2

スイッチ2の勢いは7月以降も続いている。発表資料によると、発売後7週間の累計販売は600万台を突破しており、多くの国で需要が供給を上回る状況だという。

モーニングスターの伊藤和典ディレクターはスイッチ2の初動は想定以上と評価。今期の会社計画については「ハードとソフトが大幅に上振れるのは間違いない」が、一番ユーザー数を増やせる年末商戦に十分な台数を準備できるかが懸念点だとした。また、想定よりも収益性は低く、通期の営業利益計画に大幅な上振れは期待できないかもしれないと述べた。

東洋証券の安田秀樹シニアアナリストも「スイッチ2本体は、過去のあらゆるハードと比べてもダントツの売れ行きで、これ以上ないスタートダッシュに成功したのは間違いない」と言及。初動で売れたハードがその後失速した例は少なく、「今後3年間は最低でも安泰」と見ている。一方、「ソフトの販売本数は想定より低く懸念点だ」と指摘した。

任天堂は今期(2026年3月期)の営業利益予想を3200億円で据え置いた。想定為替レートも1ドル=140円、1ユーロ=155円で維持した。

8年ぶりの世代交代となったスイッチ2は、発売後4日間の世界累計販売が350万台を突破するなど好調なスタートを切り、日米などで品薄状態が続く。スイッチ2は中国やベトナムで生産されているとみられ、米トランプ政権の関税政策の影響を受けるリスクについては注視が必要だ。

(更新前の記事で第2段落のスイッチ2向けソフト販売本数を訂正しています)

(第4段落にコメントを追加しました)

--取材協力:望月崇.

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