米スターバックスは、甘いカラフルなドリンクで熱心なファン層を築いてきた。しかし今や「MAHA(Make America Healthy Again=米国を再び健康に)」時代によりふさわしいものにメニューを変えようとしている。

同社は現在、ココナッツウォーターを使用した抹茶やコールドブリュー(低温抽出コーヒー)を試験的に提供しているほか、砂糖の代わりにアガベで甘みを加えたシロップの開発にも取り組んでいる。プロテイン入りのコールドフォームの試験導入も進めており、植物由来の商品拡充も視野に入れている。

健康志向の層を呼び込むと同時に、来店数の回復と長引く売り上げ低迷の打破を目指す計画の一環だ。

同社が7月29日に発表した4-6月(第3四半期)決算では、既存店売上高が6四半期連続で減少し、予想より大きな減益となった。メニュー戦略は、ブライアン・ニコル最高経営責任者(CEO)による業績立て直し計画の一部だが、まだ目に見える成果はない。

今週、スターバックスはニューヨークの5店舗で、ココナッツウォーターをベースにしたドリンクの提供を試験的に開始した。これらのドリンクは、夏季限定の「サマーベリー・レモネード・リフレッシャー」と比べて糖分が約3分の1で、電解質も含まれている。今後はより広い地域での試験導入が予定されている。

スターバックスのニコルCEOが進める立て直し計画についてDaniela Sirtori記者がリポート

商品開発責任者のダナ・ペリカーノ氏はインタビューで、「われわれは糖分削減に取り組んでいる」と語った。新メニューの開発において糖分は重点的に見直されており、アガベやデーツ、ココナッツなどで甘みをつけたシロップを研究しているという。他の無糖ドリンクの開発にも「積極的に取り組んでいる」という。

今年初めには、低カロリーのフラペチーノの既製品や缶入り無糖エナジードリンクを発売。また、抹茶パウダーから甘味料を除去した。

スターバックスは微妙なバランスを取る必要がある。糖分の多いフラペチーノやリフレッシャーが店舗への集客を担っている一方で、健康を意識する顧客層にアピールする方法も求めている。

戦略の柱は、多様な顧客に対応できる選択肢を提供することにある。ダイエット中や減量薬を使用している人向けには、プロテインフォームのような栄養密度の高い食品を検討中だ。

ベジタリアンやビーガン、グルテンフリーの選択肢も計画している。

新たな食品やドリンクの導入は、まず米国内の5店舗での試験提供から始められる。味や製造の手間などについて、バリスタや顧客からのフィードバックを受けて、好評であれば、より幅広く展開する予定だ。

ニコル氏が「メニューをさらにMAHA化する」ことを約束したと、ケネディ厚生長官が6月にソーシャルメディアに投稿したことで同社に注目が集まった。

ペリカーノ氏によれば、健康的な選択肢の導入はトランプ政権以前から始まっていたという。すでに数年前から高果糖コーンシロップや人工着色料、人工香料などの成分は排除されており、ケネディ長官の就任前である今年1月には無糖抹茶も導入済みだった。

ペリカーノ氏は「われわれはカスタマイゼーションにおける業界リーダーだ」と語り、スターバックスの狙いは、顧客が「犠牲を払うことなく自分の選択に納得できる」ものを見つけられるようにすることだと強調した。

原題:Starbucks Is Cutting Sugar in Healthy Menu for RFK Jr. Era (1)(抜粋)

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