(ブルームバーグ):暗号資産(仮想通貨)のマイニング(採掘)装置で世界最大手、中国のビットメイン・テクノロジーズが、今後数カ月に初の米国拠点を開設する計画だ。デジタル資産分野での「メイド・イン・アメリカ」ブームに乗り、戦略転換を図る。
ビットメインは7-9月(第3四半期)末までに、テキサス州またはフロリダ州のいずれかに新たな本社機能および組み立てラインを正式に開設する方針。2026年の初頭に生産を開始し、同年内には本格生産に入る見通しだと、同社のグローバル事業責任者アイリーン・ガオ氏は明らかにした。
今回の動きは、国内生産を重視する米産業政策の新たな流れや、業務上の必要性を反映したものだ。米政府が国家産業政策の観点からサプライチェーンの再構築を進める中、かつては周縁分野とみなされていた仮想通貨マイニング業界も、半導体やエネルギーと並ぶ戦略的産業の一角に位置づけられつつある。
ガオ氏によれば、ビットメインでは現地生産により、米国顧客向けの納品や修理の迅速化を期待している。人件費は高くつくものの、特に関税を巡る不確実性を踏まえれば、商業的には十分理にかなうとみている。
米国がビットコインで覇権を追求する動きは「唯一無二のチャンス」だと、ガオ氏はインタビューで語った。
ビットメインは暗号資産の採掘用コンピューター市場で圧倒的なシェアを誇るが、トランプ米大統領による貿易戦争は同社の米国事業に混乱をもたらした。北京に本社を置く同社の出荷は、米税関・国境警備局(CBP)の審査強化の影響で滞っている。米商務省は今年1月、同社の人工知能(AI)関連子会社を「中国政府の指示に従い、先端半導体の国産化を進める国家的目標に貢献している」と非難し、ブラックリストに指定した。
原題:Chinese Crypto Giant Bitmain Plans US Factory in Trump-Era Push(抜粋)
--取材協力:David Pan.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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