ガザ地区における飢餓の危険が一段と高まっている。国連機関は大規模な人道支援を実行に移すまでの時間が残されていないと警鐘を鳴らした。状況の深刻化を受け、国際社会から非難が強まっている。

世界食糧計画(WFP)と国連児童基金(ユニセフ)がまとめた報告書によると、食料消費と栄養状態は紛争開始以降で最悪の水準に陥っており、公式な飢餓基準を構成する3項目のうち2つを既に超えている。

大規模な飢餓の懸念が高まる中、イスラエルのネタニヤフ首相に危機対応の強化を促すよう求める圧力が西側諸国に対して高まっている。イスラエルは3月に軍事作戦を再開した際、同地域への新たな援助物資の輸送を制限し始め、新たな供給体制を導入したが、運用面での課題を抱えている。

パラシュートで支援物資を投下する様子、ガザ北部で(7月27日)

イスラエルは先週末に援助の搬入量を増やしたものの、ドイツのメルツ首相とトランプ米大統領は、飢餓に直面する人々に対し、さらに物資を届けるよう訴えた。

WFPのマケイン事務局長は報告書で、「ガザの人々の耐え難い苦しみは、すでに世界の目に明らかだ」と述べ、「切実に必要とされ、命を救う食糧援助を提供するために、飢餓の公式認定を待つことは、良識を欠いた行為だ」と強調した。

国連機関の報告書によると、ガザの食糧消費は 5 月以降急減しており、現在39%の住民が数日間何も食べていない状態にある。人口の4分の1にあたる50万人余りが飢餓に近い状況に陥っており、深刻な栄養失調がかつてないほど急増している。

飢餓の3大指標の1つである、急性栄養失調と餓死の報告が増加している。しかし、報告書によると、ガザでは医療体制が崩壊しており、信頼できるデータの収集が非常に困難になっている。

マケイン氏は「大規模な食料援助を直ちに、かつ妨げなくガザに送り、日々継続して供給しなければならない。これにより、大規模な飢餓を阻止できる」と述べた。「行動が遅れるほど死者は増え続ける」と警告した。

原題:Gaza Famine Risk Grows as UN Warns Time Is Running Out for Help(抜粋)

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