アップルがより多くのiPhone製造をインドに移したことで、同国が米国向けスマートフォンの供給国として中国を初めて上回った。

調査会社カナリスのデータによると、4-6月(第2四半期)に米国に出荷されたスマートフォンのうちインド製が44%を占め、初めて1位となった。サムスン電子の生産拠点が多くあるベトナムが2位に入り、中国は1年前の6割超から25%に大きくシェアを落とした。

アップルがインドでの生産を強化し、スマートフォン各社が「関税懸念を背景に端末の在庫を前倒しで積み増した」ことが、大きな変化をもたらしたとカナリスの調査担当者は指摘している。インド製スマートフォンの米国向け出荷台数は第2四半期に前年同期比で3倍以上に増加した。

一方、アップルのiPhoneの米国向け出荷は11%減少。年初に例外的な在庫積み増しがあったことで通常の出荷パターンが歪んだためだという。

カナリスのシニアアナリスト、ルナール・ビョルホブデ氏は「アップルは1-3月(第1四半期)末にかけて急速に在庫を積み増し、第2四半期もその水準を維持しようとした」と説明。「ただ、ベンダー各社が在庫を前倒しで積んだにもかかわらず、市場全体の成長率はわずか1%にとどまった。これは経済環境が厳しさを増す中で需要が伸び悩んでいることを示している」と分析した。

アップルをはじめとする大手テクノロジー企業は、関税や地政学的リスクを回避するために生産拠点を中国からインドやベトナムなどへ移す動きを強めている。トランプ米大統領はこれに不満を示し、米国内での製造拠点拡充を企業に促している。

原題:Apple Shift Turns India Into World’s Top Maker of US Smartphones(抜粋)

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