(ブルームバーグ):トランプ米大統領は、英国や欧州連合(EU)を含む他国・地域の政府と連携し、ガザ地区での飢餓を緩和するための新たな食料支援策に取り組む考えを示した。
トランプ氏は、スコットランドのターンベリーにある自身が所有するゴルフクラブでスターマー英首相と会談し、食料センターの設置を提案。ただ詳細については触れなかった。スターマー氏はこの計画についてはほとんど語らなかったが、戦火に見舞われたガザでの苦しみを和らげる必要性を改めて強調した。
トランプ氏は「われわれは食料センターを設置する。信頼できる人々と協力して実施する」と発言。米国がこの取り組みに資金を提供すると付け加えた。また「障害によって支援が妨げられることのないよう取り組んでいく」とも述べた。
スターマー氏との会談前、ガザに「飢餓はない」というイスラエルのネタニヤフ首相の見解に同意するか尋ねられたトランプ氏は、「テレビで見た限りではそうは思わない。子どもたちは非常に飢えているように見える」と述べた。
トランプ氏は「あれは本物の飢餓だ。私には分かるし、ごまかしようがない」とし、「子どもたちに食料を届けなければならない」と述べた。
さらに、イスラエルにはこの危機に対処する「大きな責任がある」とも指摘。一方で、ネタニヤフ政権はイスラム組織ハマスに拘束されている人質やハマスによる支援物資の略奪によって「手を縛られている」とも述べた。
スターマー首相は、「英国の人々は目にしている現状に憤っている」と発言。「停戦を実現しなければならない。トランプ大統領が先頭に立って率いていることに感謝したい。さらに多くの支援を届ける必要がある」と述べた。
スターマー氏はガザへの人道支援について、「迅速かつ大量」に届ける必要があると指摘。「他国からも支援を引き出す必要があり、それにはイスラエルに対する圧力も含まれる」と語った。
またドイツのメルツ首相はイスラエルに対し、ガザでの「壊滅的な」人道危機を直ちに緩和するよう求めた。
メルツ氏は、イスラエルとハマスは包括的な停戦に向けて動き出す必要があると述べ、状況が改善されない場合には、さらなる措置を検討するとした。ただ、その具体的な内容については明かさなかった。
同氏は、政府の安全保障閣僚会議後にベルリンで記者団に対し、「イスラエルは、ガザの壊滅的な人道状況を即時、包括的かつ持続的に改善しなければならない」と述べた。
世界的な批判に対応すべく、イスラエルは先週末にガザへの支援物資を拡大した。メルツ首相によれば、ドイツはヨルダンと協力して、空輸でガザへの支援物資供給を開始する方針だ。
原題:Trump Proposes Gaza ‘Food Centers,’ Says Starvation Is Real (1)(抜粋)
Merz Calls on Israel to Stop ‘Catastrophic’ Crisis in Gaza(抜粋)
(最終4段落にメルツ独首相の発言を加えます)
--取材協力:Joe Mayes.
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