トランプ米大統領のソーシャルメディアを運用するトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)は先週、ビットコイン関連の有価証券に連動するオプション取得戦略に3億ドル(約443億円)を投じたことを明らかにした。

詳細は不明な部分が多いが、今回の投資はトランプ・メディアがビットコイン価格にレバレッジを効かせる取引に向かっていることを示唆する。トランプ氏のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿は過去に仮想通貨の価格を押し上げたことがあり、オプション戦略はこのような価格変動から利益を得るのに寄与する可能性がある。

例えば、今年3月にビットコインやイーサリアムなど仮想通貨で構成する準備資産を米国が構築するとトランプ氏が投稿すると、デジタル資産は値上がりした。

オプション戦略において、タイミングはことさら注目を集める。トランプ氏の投稿がトラフィックを左右するトゥルース・ソーシャルをトランプ・メディアが運用しているのでなおさらだ。インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は「原資産を持っているだけでは存在しないタイミングと価格の要素が加わることになる」と話した。

トランプ政権による規制緩和を受け、暗号資産積み増しを始める上場企業は増加。TMTGもビットコインや関連資産を約20億ドル相当保有しているが、オプションの売買にまで乗り出す企業は比較的珍しい。

ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、トランプ氏の資産66億ドルのうち、22億ドルをTMTG株が占めている。同氏はまた、過去1年間に暗号資産の恩恵を受けており、関連資産は数カ月で少なくとも6億2000万ドル増加した。

暗号資産の関連企業に投資するキャッスル・アイランド・ベンチャーズのゼネラルパートナーであるニック・カーター氏は、大統領選で投票したトランプ氏を今も支持しているとした上で、同氏の業界との関係は利益相反を招きかねないと指摘。特にオプション取引は異なるリスクやリターンをもたらすと述べた。

カーター氏はインタビューで、トランプ大統領が「今年は相場の先行きに一段と積極的に踏み込んできている」と指摘。「われわれの業界サイドには、利益が相反するビジネスの存在は常に頭痛の種だ」などと語った。

ホワイトハウスのフィールズ報道官は電子メールで、大統領が「利益相反の行為に関わったことは一度もないし、今後もない」とコメントした。TMTGの担当者からは回答が得られていない。

トランプ氏のトゥルース・ソーシャルへの投稿が市場を動かし得る

ビットコイン関連の有価証券には、上場投資信託(ETF)や暗号資産企業の普通株、マイケル・セイラー氏のストラテジーが発行する転換社債などさまざまな形態がある。オプション取引は価格上昇時にレバレッジ効果を生む一方で、行使価格に届かなければ無価値になる可能性もある。

原題:Trump Media’s Bitcoin Options Trade Opens Quicker Path to Profit(抜粋)

--取材協力:David Pan.

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