ジャニン・ウォレンさんは自身が生活で排出する二酸化炭素の量を減らそうと、電気自動車(EV)購入を思い立った。ただ、同時にキャデラック、できれば小型スポーツタイプ多目的車(SUV)が欲しいとも考えていた。

ゼネラル・モーターズ(GM)は今年に入ってEVモデル「キャデラック オプティック」を発売。オクラホマ州ノーマンの公立学区で経理業務を担当するウォレンさんは4月、ガソリン車のキャデラックSUVを下取りに出して、このEVに乗り換えた。

「私たちはキャデラック好きだから。でも、この新しい車はこれまでで一番のお気に入り。乗り心地もスムーズで静かだし」とウォレンさんは話した。

米調査会社コックス・オートモーティブによれば、今年4-6月(第2四半期)に米国で販売されたEVは31万800台と、前年同期比6.3%減少した。昨年の同時期に比べて2万1000台少ないが、これはEV業界をリードしてきたテスラの販売減少分とほぼ同規模だ。

テスラはイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が行った政治的発言などが反発を受け、販売急減に見舞われている。

 

GMは現在、米国でフルEV12車種を販売。同国EV市場で15%のシェアを持つ。フォード・モーターの3倍だ。これはGMが現在、テスラ車3台に対して1台、EVを売っていることを意味する。4年前にテスラが80%の市場シェアを握っていたことを考えると、大きな変化と言える。

ホンダも第2四半期にEV販売を大幅に伸ばした。一方、現代自動車やフォードなどは勢いを失った。フォードは人気車種の一部でソフトの不具合が見つかり、販売を一時停止する事態となった。

「シボレー エクイノックス」(中央、4月の2025年ニューヨーク国際自動車ショーより)

GMはEV普及の大きな壁とされてきた価格の入手しやすさという難題の打開策を見いだしたようだ。同社のEV「シボレー エクイノックス」は連邦・州政府の補助金なしで3万3600ドル(約490万円)からと、米国で現在販売されている一般的な自動車やトラックより約30%安い。

4-6月のエクイノックス販売台数は約1万7420台で、テスラの「モデルY」、「モデル3」に次ぐ3位だった。

現在販売されているキャデラックの5台に1台はEVだ。

コックスの業界インサイト担当ディレクター、ステファニー・バルデス・ストリーティー氏は「全ては入手しやすさにかかっている」と指摘。「それに消費者はシボレーブランドになじみがある」と述べた。

ウォレンさんはもうエンジン車を買うつもりはないという。「技術はどんどん進化していくし、航続距離も伸びる一方だ。以前の状態にわざわざ戻る必要はないですよね」。

原題:US EV Sales Dip in Second Quarter, But Not for All Carmakers (1)(抜粋)

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