「日本の信用が下がると、さらなる物価高になるおそれも」

井上キャスター:
「赤字国債を発行しない」と与党が主張していても、選挙の結果次第では野党と組まなければいけなくなるため、野党案を飲まざるを得ないとなると、「やはり国債発行になるのでは?」といった話になるわけですね。

今年度予算を見てみると…

▼今年度予算(歳入):115.5兆円
税金など:75.2%
国債:24.8%(約29兆円)

大和証券チーフエコノミストの末廣徹さんは、日本の信用が下がると、「さらなる物価高になるおそれもある」と警鐘を鳴らしています。

さらに金融市場では今、日本の国債が売られて価値が下がっているといいます。なぜ下がっているのでしょうか。

金融市場は今、各党の「給付金」や「消費税減税」などで財政が悪化して、「国債の価値が下がるのではないか」「下がる前に売るべきなのではないか」と疑心暗鬼になっていて、国債が売られている状況だという事です。

出野記者:
借金をしようとすると国債がたくさん出てくるため、国債の価値は下がってしまうかもしれない。そうなってしまうと、「持ってても欲しくないし、新しいものも欲しくない」といった動きがあるため、価値や人気が下がってしまっているという状況が今あるわけです。

井上キャスター:
実際に証券会社ではどんな状況ですか?

出野記者:
国債をやり取りするディーリングルームに行きましたが、岡三証券の市場営業第一部長・伊藤顕司さんは「日本の格付け(信頼の度合い)がどんどん下がるようになってしまった時は、もう手遅れだ」と話していました。

今すぐ財政破綻するというレベルではないにしても、黄色信号が出ている状況で、下がっていく状態に拍車がかかると、元に戻れないといった危機感があります。

日本の信用度合いが下がるということは、日本にある企業の信用も海外から見ると下がってしまうおそれがあるわけです。

例えば、「新しく何かサービスを打ち出したい」とか、「新しい機械を買って、何か新製品作りたい」と思った際に、お金が非常に借りにくくなります。

私達の身近なところでいえば、今賃上げを頑張っていますが、その原資がなくなってしまったり減ってしまうといった恐れも出てくるかもしれません。

井上キャスター:
国の信用=お金の信用、そして企業の信用にも繋がっていくということですね。

大和証券チーフエコノミストの末廣さんは、「日本への不信感から円が売られ、円安を原因とする物価高になるおそれもある」と話しています。

「赤字国債はいくら刷ってもいいんだ」という考え方の人もいるかと思いますが、東尾さんはどういったことを感じていますか?

タレント・プロゴルファー 東尾理子さん:
今本当に物価が上がっている中で、私には子どもが3人いるので、子ども手当が入ってくると「ありがたいな」という気持ちにはなりますが、冷静にその財源を考えたときに、今だけを見据えるのではなく、先も見据えるべきだということも感じます。

出水麻衣キャスター:
子どもたちが大きくなった後の日本社会や日本経済がどうなっているかといった心配はありますよね。

東尾さん:
やはり人として信頼は大切だと思います。日本という国を大切に、そして自信を持って海外に出て行って欲しいといった気持ちもあります。

井上キャスター:
今の生活は大変ですが、長い目で見て、次の世代の生活をどう考えるのかですね。

出野記者:
もちろん財源や財政だけが全てではなく、必要な政策を打つ必要はあると思いますが、今の市場の警告にも耳を傾けると、より納得して色々な政党や政策を選ぶことができるのかなと思いました。

==========
〈プロフィール〉
出野陽佳
TBS報道局経済部 財務省担当
予算編成や税制改正など取材

東尾理子さん
タレント・プロゴルファー
アメリカ・フロリダ大学卒業 3児の母
不妊治療の経験を積極的に発信