(ブルームバーグ):中国で反スパイ法違反の疑いで拘束されたアステラス製薬の日本人男性社員について、北京第2中級人民法院(地裁)は16日、懲役3年6月の有罪判決を言い渡した。在中国日本国大使館が明らかした。
男性は2023年3月、日本に帰任する際に拘束され、24年8月に起訴された。同年11月には非公開で初公判が行われたが、具体的な起訴内容は明らかにされていない。中国では14年に反スパイ法を施行し外国人への監視を強めており、23年7月にはスパイ活動の定義を拡大した「反スパイ法」改正案が施行されている。
日本大使館は有罪判決について「極めて遺憾」とのコメントを公表。中国側に対し今回の男性も含め「拘束中の日本人の早期釈放を強く求めるとともに、拘束中の正当な権利と人道的な待遇の確保、司法手続きの透明性向上を求めた」という。男性に対しては「邦人保護の方針に基づき、可能な限りの支援を行う」方針を示した。
実刑判決については日本テレビが16日午前に先んじて報じていた。
今回の判決で、中国の「反スパイ法」の恣意的運用に対する懸念や、日系企業にとって中国でのリスクが改めて浮き彫りになった。日本人の対中渡航・駐在への警戒や、日本企業の投資を含め日中関係の緊張が高まる可能性がある。
日本政府とアステラスは、男性の早期の釈放を求めてきたが、中国側は国家安全保障を理由に拒否していた。外務省によると、これまでに計17人の日本人が拘束され(帰国した11人のうち釈放5人、刑期満了6人、服役中に病死1人)、現在も今回の男性を含めて5人が拘束されている。
(在中国日本国大使館などからの情報を追加し更新しました)
--取材協力:沢和世.
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