サウジアラビア政府は近未来都市「ザ・ライン」の建設計画について、優先事項を見直す一環として複数のコンサルティング会社に戦略的な再評価を依頼した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

ザ・ラインはサウジが進める巨大開発プロジェクト「ネオム」の一部で、自動車を必要としない全長170キロメートルの都市として構想されている。

現在の計画について、実現可能かどうかを評価し、必要に応じて修正案を提示するよう政府系ファンド(SWF)の1部門がコンサルティング各社に要請している。非公開情報だとして関係者が匿名を条件に語った。

関係者によれば、計画に変更が加えられず、そのまま実施される可能性もある。仮に見直しが行われる場合は、まずSWFであるパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)の幹部が承認し、その後、政府の同意を得る必要があるという。

ネオムは発表資料で、「大規模かつ複数年にわたるプロジェクトにおいて、戦略的な見直しは一般的で、開発やインフラ計画の過程で何度も行われる」と説明。

「ザ・ラインは引き続き戦略的に重要な位置付けにあり、ネオムは事業の継続性確保や効率化向上、全体構想と目標に沿った進展のペースアップに力を注いでいる」とコメントした。

こうした動きは、産油国のサウジが自国経済の改革を目的とした計画「ビジョン2030」の下で進行中のプロジェクトを調整し続けていることを浮き彫りにしている。

原油価格下落や財政赤字、外国からの投資が予想を下回っていることを踏まえ、サウジは今後、優先すべき分野とその実行ペースを見極める必要に迫られている。

北海ブレント原油価格は現在、1バレル=70ドル程度と低迷し、サウジの財政は圧迫されている。

 

原題:Saudis Plan Strategic Review of Futuristic ‘Line’ City Project(抜粋)

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