(ブルームバーグ):トランプ米大統領は15日、早ければ今月末にも医薬品に関税を課す公算が大きく、半導体にも早期の関税賦課があり得るとの見通しを示した。8月1日に発動が予定される「上乗せ」関税と同時に課す可能性がある。
「恐らく今月末だ。まず低い関税率からスタートし、製薬会社に1年ほど猶予を与えた後、非常に高い関税に引き上げるつもりだ」と語った。ペンシルベニア州ピッツバーグで開催された人工知能(AI)関連のイベントに出席後、ワシントンに戻る途中で記者団に話した。
半導体の関税導入の日程も「同様だ」と述べ、半導体への関税賦課は「それほど複雑ではない」と説明したが、詳細は明らかにしなかった。
トランプ氏は8日、医薬品メーカーに対して、関税導入までに米国内に生産拠点を移転するため1年から1年半の猶予期間を設ける意向を表明。「それ以降は、医薬品を国外から米国に持ち込む場合、200%といった極めて高水準の関税を課す」と述べていた。また、海外からの輸入急増が国家安全保障を脅かしていると主張し、1962年通商拡大法第232条に基づく医薬品分野への調査を発表している。
低い関税であっても、海外で医薬品を製造しているイーライリリー、メルク、ファイザーなどの製薬企業に即座に影響を及ぼす可能性がある。米国内の消費者にとってはコスト上昇リスクとなる。また、トランプ氏による半導体関税の方針も同様で、半導体そのものだけでなく、アップルやサムスン電子のノートパソコンやスマートフォンなど人気商品にも影響が及ぶとみられている。
トランプ氏はこの日、8月1日の期限までにさらに「2、3件」の貿易ディールが締結される見込みであり、5、6件の貿易ディールに取り組んでいると明らかにした。
国別では、インドとの合意が最も有力と指摘。米国からの関税率の警告を受け、韓国を含む一部の国が貿易の「開放」に前向きな姿勢を見せているとしながらも、日本などはそうではないと指摘した。
さらに個別に関税率を提示していない小規模諸国に対しては、標準的な関税率として「恐らく10%強」を課す可能性が高いと言及した。
同時に貿易に関する各国・地域への書簡から「状況によって」方針を変更することになるだろうと語った。
トランプ政権は今月7日から各国に新たな関税の通告を開始。9日に設定されていた上乗せ関税の導入期限は、大統領令によって8月1日へと延長された。各国は、通商交渉に事実上の時間的猶予が与えられた格好となった。
トランプ氏が今週、ロシアが50日以内に停戦に同意しない場合、100%の「2次関税」を課すと警告したことを受け、エネルギー価格の大幅上昇を招くとの懸念が広がったが、「そうは思わない。いずれ全てなくなると思う」と発言した。
原題:Trump Says Drug Tariffs Probable by Aug. 1, Downplays More Deals、Trump Says Pharma Tariffs Coming ‘Probably’ at Month’s End、Trump Expects Two or Three More Trade Deals Before August 1(抜粋)
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