業績の立て直しを進める日産自動車は15日、追浜工場(神奈川県横須賀市)での車両生産を2027年度末に終了すると発表した。国内での車両拠点の統合は完了したとしており、新たな生産体制で復活を目指す。

発表資料によると、同工場での車両生産は子会社の日産自動車九州(福岡県苅田町)に移管し統合する。追浜工場で勤務する従業員の27年度末以降の雇用や勤務については方針を決定次第、従業員に伝えるとともに組合との協議を開始する予定だ。費用は現在評価中で、4-6月期(第1四半期)決算発表時に開示する予定としている。

会見に臨むエスピノーサ社長(15日、横浜市)

同地区にある研究所やテストコース、試験場などその他の機能については、今後も事業を継続するという。

生産終了後の工場については幅広い選択肢を検討している。イバン・エスピノーサ社長は同日夕、横浜市内で記者団に対し、活用方法について複数のパートナーと協議していることを明らかにした。

また、子会社である日産車体の湘南工場に委託している「NV200」の生産を26年度で終了することも明らかにした。歴史が古く国内主力工場の一つである追浜工場の生産終了に追い込まれたことは日産が置かれた苦境を示している。

 

エスピノーサ氏はこの日の発表内容について「非常な痛みを伴うものになる」とコメントした上で、「こうした方策をやり遂げることが、現在の状況を乗り越えて成長への道に戻るために不可欠だと確信している」と述べた。

日産は5月に生産能力削減のため27年度までに世界で17ある工場を10に削減する方針を公表、詳細を詰めていた。

発表資料によると、追浜工場は1961年に操業を開始。従業員数は約3900人で主力小型車の「ノート」や「ノートオーラ」を生産している。日産のウェブサイトによると、品質に関する受賞も多く、「マザー工場」とも位置付けられていた。

(会見の内容や情報を追加して更新します)

--取材協力:岡田雄至.

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