15日の日本市場は債券が下落。長期金利は一時1.595%に上昇し、約17年ぶりの高水準を付けた。20日投開票の参院選で与党が過半数を割り込めば拡張的な財政政策に傾くとの懸念が強まっている。

株式は日経平均株価が引けにかけて上昇。円の対ドル相場は約3週間ぶり安値圏でもみ合った。

財政リスク警戒で前日から超長期債に広がっていた売りが長期債に波及した。10年金利は金融機関の貸出金利や住宅ローンの基準の1つで、企業活動や経済に与える影響が大きい。超長期債の売りも続き、20年債利回りは約26年ぶりの高水準に上昇、30年債利回りは過去最高を更新した。

パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、参院選における各党の主張はいずれも財政規律にネガティブで、債券は売られやすい地合いが続いていると言う。SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは、市場は与党敗北、石破首相退陣をメインシナリオにして動き出していると語った。

債券

債券相場は下落。超長期債を中心に売りが続いた。この日行われた5年クライメート・トランジション(CT)利付国債の入札は無難に消化され、相場への影響は限定的だった。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジストは、参院選の結果と財政拡張に対する警戒感が続いていると指摘。長期金利が「1.6%を超えればそれなりに投資家の買いが入る可能性もある」としながらも、需給不安と流動性低下で不安定化している超長期債につられている面があるだけに、1.6%で「絶対に金利上昇が止まるとは言えない」と述べた。

海外の金利上昇も重しになっている。14日のドイツ30年債利回りは2023年以来の高水準で取引を終え、米30年債利回りは一時5%に接近し6月上旬以来の高水準を付けた。

5年CT債の入札は最高落札利回りが1.098%と市場予想1.1%を下回ったほか、投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.98倍と前回の3.19倍から上昇した。東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは「入札はまずまずの結果だった」と指摘した。

新発国債利回り(午後3時時点)

株式

株式相場は日経平均株価が上昇して取引を終えた。国内金利の上昇を好感して金融株が買われたほか、為替の円安傾向を受けて電機や機械などの輸出関連が堅調だった。

半面、米国の対ロシア制裁に石油輸出を直接抑制する措置が含まれなかったため、商社など原油関連株が安く、株価指数は小幅マイナスに転じる場面があった。

SMBC日興証券投資情報部の太田千尋部長は、投資家は参院選と来週から本格化する企業決算を待っており、様子見ムードが漂っていると指摘。投資環境が不透明な中、グローバルファンドが資金を動かすのは難しいとし、日本を含む各国が米国との関税合意に達するまで市場の不透明感は続く見込みだと述べた。

国債利回りの上昇について太田氏は、生命保険会社にとって好材料であるほか、日本政府の財政問題への警戒は円安要因で、結果的にグローバル展開する企業にとって追い風になると指摘した。

為替

円相場は1ドル=147円台後半で推移。米国で関税政策によるインフレ懸念から長期金利が上昇したことがドルを支えた。市場の関心は、日本時間夜に発表される米消費者物価指数(CPI)に集まっている。

あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストによると、朝方は財政拡大懸念による悪い金利上昇との見方から円が売られたが、米CPI発表を前に利益確定のドル売りも出ていたという。

三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は、市場のテーマはインフレで「米CPIが予想通り強めの結果になれば、インフレ懸念と財政拡大で米金利が上がりやすくなり、ドル・円は148円台に乗せてくる」と予想した。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:山中英典、アリス・フレンチ、長谷川敏郎.

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