(ブルームバーグ):数カ月にわたり動意を欠いていた暗号資産(仮想通貨)ビットコインが14日に初めて12万3000ドルを突破した。「価格は上がるのみ」という信奉者たちの予言が再び勢いを取り戻している。
上昇の背景には、暗号資産(仮想通貨)に好意的な政策の動きと、大口投資家のポジショニングがある。米下院共和党は「暗号資産週間」と銘打っており、ステーブルコイン関連法案は可決に近づいている。規制緩和の動きが進んでおり、米規制当局はこの日、銀行による暗号資産の保管サービスに関する新たなガイドラインを発表した。
一方で、大きな損失を被ったのは、ビットコインに懐疑的な姿勢を取っていた空売り投資家だ。ショートスクイーズ(踏み上げ)で弾みがついたビットコインは、1週間で約15%の大幅高を演じた。
ビットコインはここ数カ月、貿易摩擦や一時的な大口保有者の売却を背景に、狭いレンジ内にとどまっていたが、信奉者たちは踏みとどまっていた。マイケル・セイラー氏率いるストラテジーなど、数十億ドル規模の購入を約束する企業も増えており、暗号資産上場投資信託(ETF)への資金流入も再び活発化している。
「これほど急激な上昇は予想されていなかった」と語るのは、EMJキャピタルの創業者で社長のエリック・ジャクソン氏だ。「私が話をする多くの賢明な投資家は、年末までに15万ドル、あるいは25万ドルへの急騰もあり得ると見ている」と話した。

現在もETFや機関投資家が供給を吸収する一方、長期保有者やマイナー(採掘者)は売却を控えている。
ハンティング・ヒル・グローバル・キャピタルの創業者で最高投資責任者(CIO)のアダム・グレン氏は「交換業者からの資金流出は過去最低水準で、需要を吸収する売り手がいない」と述べ、「今回の12万ドル突破は、『スプリント(全力疾走)』というより『スクイーズ』だ」と指摘した。
空売り投資家のポジション解消で買い戻しが広がる中、弱気ポジションの清算は過去24時間で5億7400万ドル(約850億円)に達した。コイングラスの集計データによると、ビットコインが直近高値を更新した9日には10億ドル超のショートポジションが清算された。
米国上場のビットコインETFには先週、27億ドル超の資金が流入。2024年1月にビットコイン現物投資型ETFの取引が始まって以来、週間ベースで5番目に多い資金流入額を記録した。
ブラックロックのETF「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト」(ティッカー:IBIT)の時価総額は現在850億ドルを超えている。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)は、同ETFの資産が近く1000億ドルに達する可能性があると予想している。
原題:Crypto Faithful Rejoice, Shorts Hurt as a $100 Billion Era Nears(抜粋)
--取材協力:Kirk Ogunrinde.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.