ドイツの化学品メーカー、BASFは米関税措置や地政学的な不確実性による需要圧迫を理由に、2025年通期利益見通しを引き下げた。

11日の発表によると、通期利益は利払い・税金・減価償却・償却・特別項目前ベースで73億-77億ユーロ(約1兆2500億-1兆3200億円)となる見通し。従来予想は80億-84億ユーロだった。

4-6月(第2四半期)は暫定ベースで前年同期比9.7%の減益となり、アナリスト予想と一致した。販売価格下落と為替の影響が響いた。正式決算は7月30日に公表される予定。

BASFなどのメーカーは、高止まりするエネルギーコストと中国を中心とした需要減退により、厳しい経営環境に直面している。輸出依存度の高いドイツ企業は、関税の影響を受けやすい。この日はBASFに先立ち、プラスチックメーカーのコベストロも業績見通しを引き下げていた。

通期利益見通し引き下げを受け、BASFの米国預託証券(ADR)は一時3.8%下落。2.4%安で通常取引を終えた。

BASFはこれまでも、貿易障壁の拡大が自動車や消費財などの需要に影響を及ぼす可能性があると警告していた。同社の総売上高の4分の1余りを北米市場が占めている。

BASFは発表資料で、「2025年の世界国内総生産(GDP)成長率は、以前の推定値を下回る見込みだ」とし、「その原因は4月初旬に発表された米関税と、それによって市場に広がった不確実性」だと指摘。成長鈍化の結果、化学製品需要の伸びは当初の見通しを下回り、利益率にも引き続き圧力がかかると予想した。

原題:BASF Cuts Outlook as US Tariffs Dent Demand for Chemicals (2)(抜粋)

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